その時の自分は随分と痩せてやつれているように見える。
そしてついに写真の中の私は高校時代にまでさかのぼっていた。

懐かしい制服に身を包み、鳴海と笑いながら歩いている。
アルバイトをしている私を窓の外からうつしたものもあれば、高校2年生の頃の文化祭の様子を写したものもある。

体の震えは強くなり、ついにスマホを取り落してしまった。
床に落ちてゴッと低い音が響き、慌てて拾ってフォトアプリを閉じた。

音に気がついた雪菜がリビングへ戻ってくるだろうかと思ったが、雪菜はまだお湯が湧くのを待っているみたいだ。

私は音を立てないようにそっとソファから立ち上がり、雪菜の部屋のドアの前に立った。
真っ白なドアは清潔感があるけれど、ここから先にはなにがあるのか検討もつかない。

私は震える指先でドアノブを握りしめる。
ひとつ深呼吸を挟んでドアを開けると、キレイに片付けられた空間が現れた。