雪菜は雪菜だから素敵なんだと、体温を感じながら思ったのだった。

☆☆☆

付き合う? とか、好きだよとか。
そんな言葉はなかった。

ただ一緒にいて、流れや雰囲気でキスをして、それが互いに嫌じゃなかっただけ。
しかも相手は女の子。

こんな関係もあるのだなと、なんだか他人事のような気持ちになっている。
「この映画面白かったねぇ」
隣り合って座って、手をつないで一本の映画を見る。

そんなカップルめいたことも雪菜が相手なら少しも違和感がなかった。

こんなにすんなり受け入れられている自分にビックリしている反面、これが運命の出会いなのかもしれない、なんて考える。

衝撃的な出会いとか、雷にうたれたような出会いなんて本当は必要なくて、こうして自然体でいられることが大事なのかも知れない。

「今度はなに見る?」
次の映画を探していたとき、雪菜がテーブルの上のスマホを手に取った。
「これ見て」