「怜也って元カレのこと？　実家が違うってどういうこと？　二村は怜也じゃなかったってこと？」

「わかんない！　わかんないよ！　でもここじゃない。怜也は実家が北海道にあるなんて言ってなかったし、写真で見た家とも全然違う！」

最後の方はほぼ絶叫していた。
剛志は怜也じゃなかった。

それなら怜也は一体どこにいる？
あの時の恐怖が一気に蘇ってくる。

食べたばかりのものがせり上がってきて慌ててトイレへと駆け込んだ。
「千尋！！」

雪菜が背中をさすってくれるけれど、一向に気分は良くならない。
私は涙を流しながら嘔吐を繰り返し、そのまま気絶するように意識を手放したのだった。