『はい。二村は詐欺グループの親玉とトラブルになったようで、刺殺されたようです。おそらく、昨日の夜中のことです』

「そうですか」
剛志が死んだ。
つまり、怜也が死んだということだ。

それからも刑事さんはなにか説明をしていたけれど、内容はほとんど覚えていなくて、返事もうつろなまましてしまった。

気がつけば通話は終わっていて、雪菜に肩を揺さぶられて我に返った。
「千尋、どうかしたの？　あいつ、どうなったの？」
「剛志が……殺されたって」

「殺された！？」
雪菜の声が裏返る。
要領を得ない言葉ばかりを断片的につないでどうにか説明すると、雪菜はすぐにテレビをつけた。

お笑い番組が流れ出すと情報番組へと切り変える。
しばらく画面をみていると、剛志のニュースが流れ始めた。

深刻そうな顔をした男性ニュースキャスターが、事件現場の近くに立って詐欺グループのトラブルを報道している。