「言ってなかったっけ? ウチ、お味噌汁大好きなんだよね。小さい頃にはお母さんが毎日作ってくれてて、自分でも教わったりしたし。でも、お父さんの仕事が忙しくなり始めてからは作ってもらえなくなってさ、自分で作るようになったんだ。アレンジして成功したら、嬉しくってさぁ」


雪菜は目を細めて当時のことを思い返し、楽しそうに微笑だ。
その思い出は私のためについた嘘ではなさそうで、それならと作ってもらうことにした。

私の方のケチャップライスもなかなか上手にできて、あとは卵を焼くだけだ。
とはいえ料理人みたいにふんわりトロトロなんてことはできないから、ただの薄焼き卵だけれど。

ケチャップライスをふたつのお皿にキレイに盛り付けて、その上に玉子を乗せる。
「ケチャップでウチへの愛を表現してよ」

なんて言われたので雪菜の卵の上には特大のハートを描いた。