「一週間しかもたないの?」
レジで雪菜とそんなやりとりをしていると、後に人の立つ気配がした。

お客さんが通路を通りたいのだろうと体を動かしたとき、鋭利な刃物が見えた。
「え?」

と声を発した次の瞬間にはそれが私の頭上へと振り上げられていた。
相手は男みたいだけれど、覆面をかぶっていて顔が見えない。

店員や客の甲高い悲鳴が聞こえてきたとき、振り上げられたナイフが私の顔面めがけて振り下ろされてきた。

あぁ……ついに私も終わった。
これまでの悪運が強かっただけで、ここでおしまいなんだ。
そう思ったとき、雪菜が私の体を押し倒してふたりして床に転がっていた。

振り上げられたナイフは行き場を失い、カウンターの上にあるスナック菓子の袋を突き破った。
男は軽く舌打ちをして狙いをこちらへ定める。

上向きになって転がっている私は、覆面の穴から覗いているその目に見覚えがあった。
剛志だ!