彼女には剛志との関係を知らせていなかったけれど、合コンに参加していたメンバーの誰かから噂が漏れたのかもしれない。

「ねぇ、飯沼さんって隣の県から来たんだよね?」
「え? そうだけど、なんで?」

てっきり剛志のことを聞かれると思っていた私はとまどって聞き返す。
すると彼女は身を乗り出して「監禁されたことがあるって、本当?」と、聞いてきたのだ。

その質問に頭の中は真っ白になる。
なんで?
どうしてそれを知っているの?

聞きたいけれど、そんな質問をするのは肯定することと同じだ。
全身が冷たく冷えていき、指先が凍りつく。

「なに言ってんのあんた!」
雪菜が突然席を立ち上がり、彼女の腕を掴んで引っ張った。

彼女は体のバランスを崩しながら私から遠ざかる。
「なによ。あんたには質問してないんだけど?」
「ウチの友達に変なこと聞かないでくれる?」