「あの人のところに戻るの? そんなの危ないよ」
「だから、悩んでるんだよね」

さすがに身ひとつで剛志の部屋へ乗りこんで行く勇気はない。
今度捕まってしまったら、もう二度と外には出られないだろう。

「そろそろ警察に連絡して、捜索してもらおうと思う。そうすれば剛志の部屋は誰もいなくなるでしょう?」

「そっか。そういえばまだ警察に行けてないんだっけ」
「うん」
怪我をして自由に動けなかったこともあって、警察への連絡は後回しになっていた。

時間も体力も奪われてしまうことだと、前回わかってしまったから。
今日くらいに行ったほうがいいかもしれない。

そんな風に考えていたとき、私を合コンに誘ってきた彼女が近づいてきた。
その目は好奇心に満ちている。

「なに?」
雪菜が怪訝そうな顔を彼女へ向ける。
もしかして剛志のことだろうか?