ようやく剛志の元から開放されたのだから、もっと楽しい話がしたい。
「それより、雪菜って音楽が好きなんだね?」

本棚の雑誌や、テレビ台の中に置かれているCDに視線をやって聞くと、雪菜は笑顔で一枚のCDをプレーヤーにセットしてくれた。
「最近お気に入りの曲なんだ」

流れてきたのは落ち着くメロディの少し古い曲だった。
私の両親がよく車で聞いていたのを思い出す。

「へぇ、レトロな曲が好きなんだね」
「うん。これよりもっと昔のフォークソングとかも聴くよ。なんか落ち着くんだ」

なんだかちょっと以外な気がしたけれど、悪くない。
再びソファへ横になった私はまた目を閉じたのだった。

☆☆☆

翌日起きた時、私はちゃんとベッドで眠っていた。
あのあとまた眠ってしまったけれど、途中で雪菜に起されて客室に通されたのだ。

ひとり暮らしなのに客室まであるなんてと驚いたのを覚えている。