怜也が詐欺を行っていたかはわからないが、大学へ通っていると言いながらアルバイト生活だったことを思い出せば、同じ嘘を重ねていたことになる。

ふたりはとてもよく似ているんじゃないだろうか。
「可能性はあると思う」

私と出会った合コンにもきっと誰か来れなくなった人の代理とかで無理やり参加したんだろう。
他の男性人に小銭を握らせて口封じをしておけば、できなくはないことだ。

むしろ怜也なら簡単にやりそうだ。
「そうだとすれば、前に名乗っていた名前が偽名で、二村剛志が本名ってことになるよね?」

ニュースサイトでも剛志の名前が出ていたから、そういうことなんだろう。
「そうだね」

と、頷くと、雪菜は首を傾げた。

「どうして今回は本名で千尋に近づいて来たんだろう? また偽名を使っておけば、過去の罪だってバレることはなかったのに」

そうかもしれない。
だけど今はそんなこと考えたくなかった。