剛志を野放しにしてはおけないという気持ちの方が強くて、怪我のことなんてどうでもいいのだけれど、雪菜は許してくれなかった。

雪菜のアパートは剛志のアパートから10分ほど歩いた場所にあった。
近い場所なので思わず不安になる。
「灯台下暗しよ」

雪菜はそう言って私をソファに座らせて救急箱を持ってきてくれた。
驚いたことに、雪菜がアパートと言った場所はマンションで、セキュリティもしっかりしていた。

部屋の広さも剛志のアパートとは段違いだ。
倍以上の広さがあるリビングには白いソファとガラステーブル。

それに大きなテレビにオーディオセット、本棚には勉強の本と音楽雑誌が並んでいる。

「こんなところに暮らせるなんてすごいね」
「そんなことないよ。全部両親のお金だし」
雪菜私の足裏を確認しながら言った。

ガラスが突き刺さっているはずだ。
「少し痛いかも」
ピンセットを手にした雪菜が言う。