剛志の横をすり抜けて、そのまま窓へと突進した。
ガチャンッ! と激しい音がして窓ガラスが割れる。

防犯ガラスになっていたらどうしようかと思ったけれど、天は最後に味方してくれたみたいだ。
私は足が切れるのも気にせず窓枠に足をかけた。

ここは2階だけれど、飛び降りれない高さじゃない。
少し走れば交番もある。
「くそっ!」

ようやく私がなにをしようとしているのか気がついた剛志が舌打ちをして走ってきた。
捕まる寸前で窓から飛び出した。

剛志の指先が私の髪の毛の先をかすめたけれど、握りしめることはできなかった。
地面に着地すると突き刺さったガラス片が食い込んで激痛が走る。

だけど、おかげで意識がハッキリした。
私は後方で叫んでいる剛志を振り返ること無く、駆け出したのだった。