試しに乱暴にガチャガチャと触ってみるけれどビクともしない。
百均で売っているような安物ではない。

いつの間にこんなものを!?
焦りと恐怖で全身が震えて立っていられなくなる。

ボストンバッグをその場に残して這いずるようにしてリビングへ向かった。
窓を開けて助けを呼ぼう。

ここは裏道に面した窓だけれど、きっと近隣の人たちが気がついてくれる。
そう思ってどうにか体を起こしてカーテンを開ける。

同時に「ヒッ」と悲鳴が上がっていた。
簡単に開閉できるクレセント錠だったはずが、鍵付きのガラス戸に付け替えられていたのだ。

こんなのはすぐにできることじゃない。
剛志はきっと何日も、何週間も前から私をここに監禁するつもりで行動にうつしていたに違いない!

今更気がつくなんて、なんてバカなんだろう!
剛志は会社へ行く必要もないのだから、私が学校へ行っている間にいくらでも部屋を改装することができたんだ。