「太田店長、この子は友達の雪菜です。雪菜、この人が高校時代お世話になった、バイト先の店長さんだよ」

「はじめまして」
雪菜は観察するように大田店長を見つめる。

大田店長は気を悪くした様子も見せずに笑顔で「はじめまして」と、答えている。
それを見た雪菜の表情が和らいだので、どうやら安心できる相手だと判断したみたいだ。
「ところで、その後は大丈夫?」

大田店長の言葉の意味が一瞬わからなかったけれど、あの事件については全国ニュースにもなったから知っていて当然だと思い直した。

「はい。しばらくは辛かったけど、今は勉強と遊びで忙しいので」
「そうか。それならよかった」
安心して笑ってくれるその笑顔を見ていると、こちらまでほっこりとした気持ちになる。

「だけど気をつけて」
大田店長はすぐに表情を引き締めた。

「え?」
「聞いてないのか? 飯沼さんを監禁していた男は早い段階で刑務所から逃げ出したんだ」