窓から差し込んでくる光はオレンジ色になっていて、驚いて上半身を起こすとなんだか気分が悪くなり、またすぐにベッドへ逆戻りしてしまった。

「起きた?」
気配に気がついたのか、剛志が隣の部屋から顔をのぞかせた。

「私、どうして……?」
朝ごはんを一緒に作って食べたところまでは覚えているけれど、それから先の記憶がない。

「体調を崩して倒れてたんだよ」
そう言われて部屋の中を見回してみると、ベッドのサイドテーブルに冷えピタが置かれている。

自分の額に手を伸ばしてみると、一枚貼られているのがわかった。
「熱が出てたの?」
「そうみたいだな」

そんな会話の後で今日剛志は出勤日ではなかったかと思い出した。
「ごめん、私のせいで会社を休んだの?」

「会社くらいどうってことはないよ。千尋のことが心配だったんだ」
剛志がベッドの横に座って私の手を握りしめる。
「本当にごめんね、私のせいで」