「な……なんでそんなこと言うの？　私は別になにも！」
反論する私を見て剛志は急に覚めた表情になり、私から手を離した。
そして隣の寝室へと向かう。

「ねぇ、話を聞いてよ！」
その背中に呼びかけても返事はなく、その日の夜は剛志が寝室から出てくることはなかったのだった。

☆☆☆

剛志の態度が急変した翌日、できれば学校に逃げたかったけれど残念ながら休校日だった。

今日は１日剛志と一緒にいなければならない。
昨日のことを思い出すと憂鬱な気分で胃の辺りがズシリと重たくなる。

ひとまず朝食を作ろうとキッチンへ向かうと、すでに剛志が起き出してスープを作ってくれている最中だった。

「あ、ごめん。私が作ろうと思ってたんだけど」
いつも朝はパンとか簡易的な食事だから、休日にはできるだけ作るようにしている。

「いや、昨日は悪かったと思ってさ」
鍋に向かっていた剛志が申し訳なさそうに頭をかく。