大きな袋を下げてアパートへ戻っても剛志はまだ帰ってきていなかった。
「ふぅ、さすがに買いすぎちゃったなぁ」

リビングのテーブルの上で袋の中を見ると、チョコレートにポテトチップスにジュースに、自分が気になるものをほとんど購入してしまっていた。

「これだけ買ってたら、そりゃ声かけてくるよね」
店員の本心は呆れていたんじゃないかと思う。
プリンやアイスを袋から取り出して片付けているとき、剛志が帰ってきた。

「あ、おかえりー」
軽く声をかけて視線は冷蔵庫へ向いたまま。

最後のヨーグルトを片付けて冷蔵庫を閉めたとき、その後ろに剛志が立っていて「ひっ!」と悲鳴を上げた。

「ちょっとビックリするでしょ?」
音もなく近づいてきたのはきっとわざとだ。

剛志は時々子供みたいなイタズラをして人をびっくりさせるときがある。
「今日ちょっとお菓子買いすぎちゃったんだよね」
言いながらリビングへと向かう。