「そうかもしれないけど、でも……」
「早急に決めるのはよくないと思うよ」

雪菜は冷たく言い放つと、そのまま教室を出ていってしまったのだった。

☆☆☆

どうして雪菜は剛志の話しになると急に態度が変わるんだろう。
他の話をしているときにはあんなに明るくていい子なのに。

雪菜の気持ちが理解できなくて、深くため息を吐き出しつつ、無意識に買い物かごにどんどんお菓子を入れていってしまった。

学校終わりになにか買って帰ろうと近所のコンビニに立ち寄っていたのだ。
「でも、これくらい量があっても剛志とふたりで食べるんだからいいよね」
自分で自分に言い訳してレジへと持っていく。

カウンターに立っているのは、ほぼ毎日この時間に仕事をしている若い男の子だった。
学生さんだろうか。

同い年くらいに見える。
自分で学費を稼ぎつつ勉強するという話はよく聞くし、職業訓練校には何人もそんな人たちがいた。