説明後雪菜は納得したようだったけれど、それでも笑顔を見せてはくれなかった。
私のことを心配してくれている雪菜だからこそ、前進できたことを喜んでくれると思っていたのに。

雪菜はその後トイレに立って、私はモヤモヤとした気持ちで自分の席へと戻ったのだった。

☆☆☆

剛志との初めてのデートの日はさすがに緊張した。

男性とふたりきりで外を歩くなんて久しぶりだったし、やっぱり心のどこかに恐怖心が残っていたのだと思う。

「顔色が悪いけど大丈夫?」
約束場所に到着してすぐに剛志が心配そうな顔になった。
「大丈夫です。ちょっと、寝不足で」

「そっか。じゃあとりあえず喫茶店にでも入ろうか。休憩すれば気分も変わるかもしれないし」

せっかくのデートだというのに最初から台無しにしてしまった気持ちになって申し訳なかったけれど、剛志はそんなこと少しも気にしている様子は見せなかった。