(たとえ家族に認められなくても、たとえ才能がないと言われても……私は神様にお仕えしたいのです。どうか、どうか、機会をお与えください)
千花にできるのは、ただ祈ることだけ。ただ、自分の思うように舞い続けた。
◇ ◇ ◇
稽古場では、朝早くから集まった弟子達がひそひそとささやき合っていた。天恵舞術は、華やかな衣を身に着けて舞うことから、若い女性の術者も多い。
特に騒がしいのは、美琴を囲む一団だった。
「私達も一緒に指導していただけるのですから、少しでも美琴様に追いつかなくては」
「きっと素晴らしい先生なのでしょうね」
「美琴様の才能を見抜いてくださるに違いありません」
と、目を輝かせている。
夢中になって話し込んでいる者達から離れ、千花は静かに正座して、指導者が到着するのを待った。
(……浮かれている場合ではないわ)
やがて、稽古場の戸が開いた。
その瞬間、ざわざわとしていた者達の目が一斉に戸口に向けられ、時が止まったかのように静かになる。
現れたのは、息を呑むほど美しい青年だった。
長めの艶やかな黒髪を一本に束ねている。高い身長、完璧に整った顔立ち、そして何より、その場の空気を一変させる圧倒的な存在感。
千花は思わず息を詰めた。まるで神話の世界から抜け出してきた神のような美しさ。
「……素敵」
千花にできるのは、ただ祈ることだけ。ただ、自分の思うように舞い続けた。
◇ ◇ ◇
稽古場では、朝早くから集まった弟子達がひそひそとささやき合っていた。天恵舞術は、華やかな衣を身に着けて舞うことから、若い女性の術者も多い。
特に騒がしいのは、美琴を囲む一団だった。
「私達も一緒に指導していただけるのですから、少しでも美琴様に追いつかなくては」
「きっと素晴らしい先生なのでしょうね」
「美琴様の才能を見抜いてくださるに違いありません」
と、目を輝かせている。
夢中になって話し込んでいる者達から離れ、千花は静かに正座して、指導者が到着するのを待った。
(……浮かれている場合ではないわ)
やがて、稽古場の戸が開いた。
その瞬間、ざわざわとしていた者達の目が一斉に戸口に向けられ、時が止まったかのように静かになる。
現れたのは、息を呑むほど美しい青年だった。
長めの艶やかな黒髪を一本に束ねている。高い身長、完璧に整った顔立ち、そして何より、その場の空気を一変させる圧倒的な存在感。
千花は思わず息を詰めた。まるで神話の世界から抜け出してきた神のような美しさ。
「……素敵」
