久我寺家は、神に舞を奉納して、様々な加護を得る天恵舞術を修める名家である。先祖代々、舞を舞うことによって神の加護を得てきた。
だが、千花は才能に恵まれないのか、父を満足させるための舞を舞うことはできなかった。このままでは、天詠儀への参加も許されないだろう。
近々行われる天詠儀は、神託を得るための儀式である。
久我家の中でも特に高度な神託を得るための儀式だ。舞う者によって得られる神託が違うため、できるだけ多くの舞人を出す必要がある。
だが、もう何年も神託を得ることができていない。それは、久我家以外の天恵舞術を使う家でも同じことで、父は今年こそはと気合が入っているのだ。
それに、近頃、日本帝国を守る結界が弱まっているという話も聞いている。何百年前かの神々の争いによって、帝国を守る軍神の力が弱まったのだそうだ。
結界を強化する舞人を早々に見つけ出さねばならないのだが、それもまた神託によって決められる。次の天詠儀こそはと、どの家も気合を入れているらしい。
張られた頬が、まだ熱い。
(……お母様、私は、本当にお母様のあとを継げるのでしょうか……)
千花の亡くなった母は、優れた舞人だったと聞いている。父はその才をかって妻に迎えたのだとか。だが、千花にはその才能は受け継がれなかった。
だが、千花は才能に恵まれないのか、父を満足させるための舞を舞うことはできなかった。このままでは、天詠儀への参加も許されないだろう。
近々行われる天詠儀は、神託を得るための儀式である。
久我家の中でも特に高度な神託を得るための儀式だ。舞う者によって得られる神託が違うため、できるだけ多くの舞人を出す必要がある。
だが、もう何年も神託を得ることができていない。それは、久我家以外の天恵舞術を使う家でも同じことで、父は今年こそはと気合が入っているのだ。
それに、近頃、日本帝国を守る結界が弱まっているという話も聞いている。何百年前かの神々の争いによって、帝国を守る軍神の力が弱まったのだそうだ。
結界を強化する舞人を早々に見つけ出さねばならないのだが、それもまた神託によって決められる。次の天詠儀こそはと、どの家も気合を入れているらしい。
張られた頬が、まだ熱い。
(……お母様、私は、本当にお母様のあとを継げるのでしょうか……)
千花の亡くなった母は、優れた舞人だったと聞いている。父はその才をかって妻に迎えたのだとか。だが、千花にはその才能は受け継がれなかった。
