美琴や千花だけではなく、弟子達も戸惑っているようだった。あれほど完璧に見えた美琴の舞に、足りないものがあるなどと考えたこともなかったのだろう。
「ご指導をお願いします。私、必ず蒼刃様のおっしゃる舞を身につけてみせます」
その必死さに、蒼刃は僅かに表情を和らげた。
「その心意気はいい。ただし、心の変化には時間がかかる。焦らず、じっくり己自身と向き合うことだ」
美琴の指導が終わると、蒼刃の視線は自然に千花の方を向いた。
「次は千花殿の番だ」
その瞬間、千花は飛び上がりそうになった。
(本当に……私に指導してくださるの……?)
稽古場にいた全員がこちらを振り返る。美琴の表情は一瞬凍りついたが、すぐに作り笑いを浮かべた。
「お姉様、頑張って」
千花は震える足で立ち上がった。手のひらには汗がにじみ、呼吸も浅くなっている。
これまで人前で舞を披露する時は、いつも失敗ばかりだった。今度もきっと同じように恥をかくに違いない。
「……本当に、指導を受けてもよろしいのでしょうか……? 私は……私は……」
才能がないと言われ続けてきたのに、本当にいいのだろうか。
この美しい人の前で舞うとなると足がすくむ。
「君も久我家の娘だろう。君にも資格はある。さあ、舞ってみるといい」
「ご指導をお願いします。私、必ず蒼刃様のおっしゃる舞を身につけてみせます」
その必死さに、蒼刃は僅かに表情を和らげた。
「その心意気はいい。ただし、心の変化には時間がかかる。焦らず、じっくり己自身と向き合うことだ」
美琴の指導が終わると、蒼刃の視線は自然に千花の方を向いた。
「次は千花殿の番だ」
その瞬間、千花は飛び上がりそうになった。
(本当に……私に指導してくださるの……?)
稽古場にいた全員がこちらを振り返る。美琴の表情は一瞬凍りついたが、すぐに作り笑いを浮かべた。
「お姉様、頑張って」
千花は震える足で立ち上がった。手のひらには汗がにじみ、呼吸も浅くなっている。
これまで人前で舞を披露する時は、いつも失敗ばかりだった。今度もきっと同じように恥をかくに違いない。
「……本当に、指導を受けてもよろしいのでしょうか……? 私は……私は……」
才能がないと言われ続けてきたのに、本当にいいのだろうか。
この美しい人の前で舞うとなると足がすくむ。
「君も久我家の娘だろう。君にも資格はある。さあ、舞ってみるといい」
