金の龍皇子は銀龍の娘を花嫁に乞う

 残された銀の繭はゆっくりと縮み、ゆるゆると地上へと降りて来る。
 地についた瞬間、繭の糸はゆるやかにほどけ、雪のように消えた。
 中から現れたのは、虹夜だった。
 彼はゆっくりと目を開け、戸惑いを浮かべる。
「ここは……俺はどうして外に」
「良かった……」
 見届けた眞白は、地面に崩れ落ちた。
「眞白!?」
 虹夜は慌てて駆けつけ、彼女を助け起こす。
 眞白はにっこりと笑った。直後、がくりと首を垂れる。
「眞白! しっかりしろ!」
 虹夜の叫びは夜を裂くように響き渡った。

 気がついたとき、眞白は布団に横になっていた。
「目が覚めたか!」
 明るい日差しの中、疲れた顔の虹夜が自分の手を握っていた。
「虹夜様……」
 眞白ははっとして体を起こす。が、すぐに彼に押し戻された。
「ダメだ、寝ていろ。俺のために気力を使い果たしたのであろう。なんと詫びたらいいか。お前の死を聞かされて、冷静ではいられなかった」
 虹夜は恥ずかしそうに、悔しそうにつぶやく。
「俺はずっとツガイを探していた。お前を見た瞬間、生まれたときから失くしていたかけらを見つけたと思った。それを再び失くしたと思ったら……ああ、言い訳だな。本当にすまない」
「私より、村のみんなに謝罪をなさってください」