眞白はとっさに大声をあげた。
「虹夜様! 落ち着いてください! 私は無事です!」
が、龍の様子は変わらない。咆哮とともに稲光が走る。
「虹夜様! 聞いてください!」
何度も叫ぶが、まったく声は届いていないようだ。
喉が痛くなって口をつぐみ、それからハッとした。
「この村には龍鎮めの舞が伝わってます。姉はそれを舞えます。姉はどこですか!?」
「さきほど捕え……いえ、保護しております」
雨刻はあとのことを部下に託し、眞白とともに村長宅に向かった。
扉を開けると、土間には軍服のふたりの男に見張られた沙代がいた。
「お姉様、お願いです。龍鎮めの舞を舞ってください」
「嫌よ、こんなときに舞なんて、殺されるわ!」
「舞をきちんと習ったのはお姉様しかいないんです」
「だからなによ!」
沙代はまったく聞く耳を持たず、眞白は歯噛みした。
自分が沙代の立場なら、なにを置いても舞に行くのだろうに。
そうして、気が付く。
姉は皇子の嫁になることに固執していた。眞白より上であることにこだわっていた。ならば……。
「舞を舞ったら、皇子は舞い手を見初めるでしょうね。伝説にもあります、龍鎮めの舞を舞った娘と結婚なさったって」
眞白の言葉に、沙代の頬がぴくっと動いた。
「私が舞ったら……」
「私が舞うわ! 正式にならったのは私だけよ!」
沙代が割って入り、叫んだ。
狙い通りの反応に、眞白はこぶしを握る。
「虹夜様! 落ち着いてください! 私は無事です!」
が、龍の様子は変わらない。咆哮とともに稲光が走る。
「虹夜様! 聞いてください!」
何度も叫ぶが、まったく声は届いていないようだ。
喉が痛くなって口をつぐみ、それからハッとした。
「この村には龍鎮めの舞が伝わってます。姉はそれを舞えます。姉はどこですか!?」
「さきほど捕え……いえ、保護しております」
雨刻はあとのことを部下に託し、眞白とともに村長宅に向かった。
扉を開けると、土間には軍服のふたりの男に見張られた沙代がいた。
「お姉様、お願いです。龍鎮めの舞を舞ってください」
「嫌よ、こんなときに舞なんて、殺されるわ!」
「舞をきちんと習ったのはお姉様しかいないんです」
「だからなによ!」
沙代はまったく聞く耳を持たず、眞白は歯噛みした。
自分が沙代の立場なら、なにを置いても舞に行くのだろうに。
そうして、気が付く。
姉は皇子の嫁になることに固執していた。眞白より上であることにこだわっていた。ならば……。
「舞を舞ったら、皇子は舞い手を見初めるでしょうね。伝説にもあります、龍鎮めの舞を舞った娘と結婚なさったって」
眞白の言葉に、沙代の頬がぴくっと動いた。
「私が舞ったら……」
「私が舞うわ! 正式にならったのは私だけよ!」
沙代が割って入り、叫んだ。
狙い通りの反応に、眞白はこぶしを握る。



