胸騒ぎは強くなる一方で、まったく収まらない。
村の空には雷雲もないのに轟音と稲光が閃く。
走ったせいで胸が痛い。息が苦しい。それでも走るのをやめず、なんとか村に着いたとき。
眞白が見たのは、夜空に燦然と輝く黄金の龍だった。
咆哮を上げ、そのたびに雷が地へと走る。
「金の龍!? どうして……」
落雷のせいか、燃えている家もあった。村人は、あるいは消火に走り、あるいは逃げまどう。
ぜいぜいと息をしながら見回し、状況を確認する。
消火の指示を出しているのは雨刻だった。辰彦は女性や子ども、老人を避難させている。
眞白は走っていき、雨刻に声をかけた。
「なにがおきたのですか」
「眞白様、ご無事で!」
雨刻はほっとしたように声を上げる。
「虹夜様は今、暴走しておられます」
「暴走?」
眞白は目を丸くした。
「眞白様が殺されたと言われてお怒りになり、このありさまです」
龍となった虹夜は咆哮を響かせ、雷雲がたなびく。
雲の間を走る雷光が村を不気味に照らし、龍の光、火事の光ともあいまって、夜とは思えない明るさだった。
「あの龍は虹夜様なのですか? 早く止めてください!」
「無理です。ご意志による変化ではないため、なにを言ってもお耳には届かず、止めるすべはありません。ご自身で落ち着きを取り戻してくださるまで待つしか……」
村の空には雷雲もないのに轟音と稲光が閃く。
走ったせいで胸が痛い。息が苦しい。それでも走るのをやめず、なんとか村に着いたとき。
眞白が見たのは、夜空に燦然と輝く黄金の龍だった。
咆哮を上げ、そのたびに雷が地へと走る。
「金の龍!? どうして……」
落雷のせいか、燃えている家もあった。村人は、あるいは消火に走り、あるいは逃げまどう。
ぜいぜいと息をしながら見回し、状況を確認する。
消火の指示を出しているのは雨刻だった。辰彦は女性や子ども、老人を避難させている。
眞白は走っていき、雨刻に声をかけた。
「なにがおきたのですか」
「眞白様、ご無事で!」
雨刻はほっとしたように声を上げる。
「虹夜様は今、暴走しておられます」
「暴走?」
眞白は目を丸くした。
「眞白様が殺されたと言われてお怒りになり、このありさまです」
龍となった虹夜は咆哮を響かせ、雷雲がたなびく。
雲の間を走る雷光が村を不気味に照らし、龍の光、火事の光ともあいまって、夜とは思えない明るさだった。
「あの龍は虹夜様なのですか? 早く止めてください!」
「無理です。ご意志による変化ではないため、なにを言ってもお耳には届かず、止めるすべはありません。ご自身で落ち着きを取り戻してくださるまで待つしか……」



