金の龍皇子は銀龍の娘を花嫁に乞う

 男たちは礼を言い、喜びを見せた。
 沙代はにたりと笑い、先導して歩き出した。

***

 森に駆け込んだ眞白は大きな声で姉を呼んだ。
「お姉様! どちらですか!?」
 返事はまったくない。風が吹き、木々が葉を不気味に揺らした。
 すでに日は落ちたが月は見えず、森は尋常でなく暗い。
「お姉様! 返事して!」
 再び叫ぶが、やはり応えはない。
 夜の森は獣が出て危ない。
 虹夜の言葉が蘇り、眞白は身震いした。
 一度帰ろう。すれ違ったのかもしれないし、そうでなければ、村のみんなに言って一緒に探してもらおう。
 そう思って村のほうを見たときだった。
 妙に明るい光があり、眞白の背に寒気が走った。
 なんだろう、あれは。
 森の木々にまぎれて、光の正体はわからない。
 眞白は慌てて村に走った。