ばたん! と厩舎の扉が開き、眞白は体を起こした。
そこには慌てた顔の父、辰彦がいた。彼がここに来るのは初めてだ。
「眞白、来い」
「どうしたんですか?」
「いいから来い!」
辰彦は焦れたように中に入り、眞白の手を引く。
眞白はたたらをふむように立ち上がり、辰彦にひかれるままに家に入った。
玄関から家に入るなんて、何年ぶりだろう。掃除などで入るときは必ず勝手口からだった。玄関は家族のためにある、と沙代が怒るからだ。
「お前のせいで大変なことになったぞ」
「え?」
「お前の雉のせいで椀に嘆きが入ってたとして、お使者が怒っておられる。我らの村の存続がかかっている。お前が自死してでも機嫌を直してもらえ」
そんな。
眞白は青ざめた。
友達を奪われて悲しんでいるのに、それで怒られるなんて。
死んででも機嫌を直してもらえなんて。父は自分の命より使者の機嫌が大事なのだ。
眞白はやりきれない気持ちで辰彦のあとをついて歩いた。
***
日が傾き始め、涼しい風が吹き始めた頃。沙代は用意された舞台に立った。
さきほどは眞白を成敗して気分爽快だ。目障りだった雉がいなくなってせいせいする。良い舞が舞えそうだ。
そこには慌てた顔の父、辰彦がいた。彼がここに来るのは初めてだ。
「眞白、来い」
「どうしたんですか?」
「いいから来い!」
辰彦は焦れたように中に入り、眞白の手を引く。
眞白はたたらをふむように立ち上がり、辰彦にひかれるままに家に入った。
玄関から家に入るなんて、何年ぶりだろう。掃除などで入るときは必ず勝手口からだった。玄関は家族のためにある、と沙代が怒るからだ。
「お前のせいで大変なことになったぞ」
「え?」
「お前の雉のせいで椀に嘆きが入ってたとして、お使者が怒っておられる。我らの村の存続がかかっている。お前が自死してでも機嫌を直してもらえ」
そんな。
眞白は青ざめた。
友達を奪われて悲しんでいるのに、それで怒られるなんて。
死んででも機嫌を直してもらえなんて。父は自分の命より使者の機嫌が大事なのだ。
眞白はやりきれない気持ちで辰彦のあとをついて歩いた。
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日が傾き始め、涼しい風が吹き始めた頃。沙代は用意された舞台に立った。
さきほどは眞白を成敗して気分爽快だ。目障りだった雉がいなくなってせいせいする。良い舞が舞えそうだ。



