「ねえ、見た?」
「見ました!」
「見ましたとも!」
沙代の問いに、使用人たちは媚びるように即答し、笑う。
「こいつの友情は食欲に負けるのよ。おかしいったらないわ!」
沙代は勝ち誇って笑い、へたりと座り込んだ眞白の手をぎいっと踏みにじる。
う、と痛みにうめいた眞白に、沙代は侮蔑の視線を浴びせた。
「吐いたら許さないわ。それから、絶対に高貴な方々のお目に触れぬようにするのよ。尊いお方は穢れを嫌うものなの、身の程をわきまえなさい!」
鞭を捨て、沙代は踵を返す。
まとった衣がふわりと舞い、天冠の飾りがしゃらしゃらと鳴った。
「あんたがすぐに食べなかったせいで!」
鞭打たれた使用人が眞白の横腹を蹴飛ばす。転がった眞白は蹴られた箇所を抑えて呻いた。
沙代は一度も振り返らず、眞白はただ地面にうずくまっていた。
賑やかな音に満ち、人々が広場に作られた舞台に集まる頃。
眞白はぼろぼろの風呂敷に包んだ荷物を抱えて森を歩いていた。
小川に着くと、口の中に指をつっこんで吐いた。
「ごめん。ごめんね、コウヤ」
涙目でつぶやき、森の奥へ行く。
大きな木の下に穴をほり、風呂敷の中身をとりだす。
ゴミ捨て場から拾ってきた、コウヤの羽と骨だった。
それを埋めて、涙をこぼす。
「ごめんね。助けられなくて。ごめん、コウヤ……」
嗚咽を漏らし、ただ手を合わせる。
「見ました!」
「見ましたとも!」
沙代の問いに、使用人たちは媚びるように即答し、笑う。
「こいつの友情は食欲に負けるのよ。おかしいったらないわ!」
沙代は勝ち誇って笑い、へたりと座り込んだ眞白の手をぎいっと踏みにじる。
う、と痛みにうめいた眞白に、沙代は侮蔑の視線を浴びせた。
「吐いたら許さないわ。それから、絶対に高貴な方々のお目に触れぬようにするのよ。尊いお方は穢れを嫌うものなの、身の程をわきまえなさい!」
鞭を捨て、沙代は踵を返す。
まとった衣がふわりと舞い、天冠の飾りがしゃらしゃらと鳴った。
「あんたがすぐに食べなかったせいで!」
鞭打たれた使用人が眞白の横腹を蹴飛ばす。転がった眞白は蹴られた箇所を抑えて呻いた。
沙代は一度も振り返らず、眞白はただ地面にうずくまっていた。
賑やかな音に満ち、人々が広場に作られた舞台に集まる頃。
眞白はぼろぼろの風呂敷に包んだ荷物を抱えて森を歩いていた。
小川に着くと、口の中に指をつっこんで吐いた。
「ごめん。ごめんね、コウヤ」
涙目でつぶやき、森の奥へ行く。
大きな木の下に穴をほり、風呂敷の中身をとりだす。
ゴミ捨て場から拾ってきた、コウヤの羽と骨だった。
それを埋めて、涙をこぼす。
「ごめんね。助けられなくて。ごめん、コウヤ……」
嗚咽を漏らし、ただ手を合わせる。



