「今度、どこか行こうよ」

昼休み。悠真がそう言った。

「え?」

「土曜日とか……映画とか、カフェとか。ふつうのデート、してみたい」

「……行きたい」

そんなふうにして、ふたりは週末に街に出かけることになった。

いつもと違う私服の悠真に、ちょっとだけドキドキしてしまう。

「変かな……?」

「いや、すごく似合ってる」

映画を見て、手をつないで、歩いた帰り道。

「……こうして並んで歩くの、夢みたいだね」

「現実だよ。俺の隣に、結衣がいるんだから」

夕暮れの風が、ふたりの距離を近づけていた。