お正月恒例の親戚の集まりも終わったところで、先輩に『あけましておめでとうございます。明日からいつもの公園で毎日待ってます』というチャットを送った。待つのは昼過ぎから夕暮れまでの数時間であること、来れるときに来てほしいことも添えておく。
 強硬手段に出たことは申し訳なく思うけれど、納得のできる決断をと教えてくれたのは先輩だ。今の私にしては柄にもなく自分を押し通してしまったことに、きっと後悔はする。それでも、なにもせずに先輩がいなくなってしまうほうがもっと後悔すると思った。
 そうしてスマホを机に伏せた私は机の下に置かれたキャビネットの引き出しに手を掛けた。
 翌日は既読が付かなくて案の定不発に終わってしまったものの、夜に先輩から『今見た。行けなくてごめん。明日行く』という返信が入った。
 次の日。
 私は小さめのショルダーバッグを提げて玄関の扉を開けた——