薄暗く、それでいて温かい照明の中。
とあるマンションの一室で、ゆっくり二人の時間は流れていた。
「あー、そういえばそうだった。ほんと、今思えば長い付き合いだよなぁ。」と、換気扇の下で煙草に火をつけながら歳の離れた兄が呟く。
「……急になに?」
私はパソコンの画面と睨めっこしながら、キーボードを叩く。
「たくさん助けてもらったっけ。やっぱりあいつから貰ったものが多すぎて、何年経っても返しきれないよ」
「なに、惚気?」
「そーかも。」
思っていたよりもあっさり認められてしまった。相変わらず甘ったるいなぁこの人達は、とため息をひとつ。それからパソコンを閉じて冷蔵庫の中からジュースを取り出した。
「ねぇ、二人の馴れ初め聞かせてよ」
「んー、長くなるよ?」
「いいよ。まだ帰って来ないんでしょ?」
「……じゃあいい機会だし話してあげようか」
◇
生まれ育った環境は、残酷に。時に人を大きく変えてしまうのだと思う。
ある者は自信がないまま裏切られ続け
ある者は心に傷を抱えたまま
ただ笑って日常をやりすごしている。
これはそんな二人の話。



