告白タイムリセット

「奈乃香!お前なにしてるんだよって…は?寝てたの?」


「隼人、?えなに、どうかした?」


「いや、澪さんが連絡しても反応がないから心配って俺に連絡してきて…、
マジ焦った…死んだんかと思った」


「ご、ごめん…多分夏バテでさ…」


ってお母さん幼馴染とはいえ、なんでも隼人に頼りすぎではないか
私の家は両親ともに仕事大好き人間で、
父は海外赴任、母は出張で海外。



お隣さんであり幼馴染の佐々木隼人は、心配性の母に使いまわされてるってわけ。
まあ、その隼人も心配性だから何とも言えない。


「も~、夜ご飯食べたの?」
「え…、あ、食べてない、…」
「どうせインスタントでも食べるんでしょ!家からなんかとってくるから
ダイニングいてよ!」
「は、はーい」


第二のお母さんと言っても過言ではない彼。
家事は完璧、勉強もできて、優しい。
スペックの高い、いい幼馴染をもったなあと改めて思う。

制服から着替え、リビングに向かう。
もうすでに隼人はいて、ご飯を温めていた。


「はい。奈乃香が好きなハンバーグ」
「やったあ」

やっぱり世界一の幼馴染だ。
世界中探してもこんな幼馴染をもっている人はいないだろう。
「熱くない?」なんてわざわざ聞いてくれて、コクと一回だけ頷くと
お皿の隣に水をすっとおいて椅子に座った。

「ん~おいしいっ!さすがだね隼人」
「よかった。」

隼人は料理が苦手な那津子のかわりに毎日お料理をしているから
とっても美味しい。
しっかり私の好みのチーズ入りだしね。

こんな人と将来旦那さんだったら毎日が幸せなんだろうけど。
それでも恋はしてしまう。

決して無謀の恋であっても。
「叶わないって…わかってるけど、」
声に出すつもりなんかなかった。でも口から勝手に溢れ出てころっと落ちてしまった。
隼人の目がすこし見開いた気がして、心臓がきゅっと縮んだ。


「…何か言った?」
「ううん、何も!」
「…そ。手か明日家んちで食べる?」
「え、食べたーい!」

いっそ隼人に恋したほうが幸せなのか。なーんて。
隼人は私のことが好きだ。
私が南くんを見るときと同じ目をしているから。

きっと私のすべてを受け入れる。
わかってるけど、心はそんなに従順ではない。

勝手に好きになってしまう。
私の気持ちなんか無視をして。


恋ってそういうものだと思う。


☆ ☆ ☆