私は、小さいころから有名だった。
２歳くらいのときにモデルとしてデビューして、小学四年生になって、アイドルのオーディションを受けた。
日葵ちゃんを守るために。強くて、まっすぐな女の子にするために。
正直、私はダンスが苦手だ。だけど、頑張って練習した。
アイドルになるには、「可愛さ」と「演技力」が必要だ。
どんなにつらくても、どんなに疲れても、カメラの前では必ず、スマイル。
本心ではそう思っていないことでも、嘘をつき続けて、嘘を重ねる。
そうすれば…いつか、人はそれを「本当」として扱い始める。
アイドルに「本当」なんていらない。
愛想を振りまいて、ただ、ステージや舞台で歌って踊ればいいだけ。
そのあとは、売れることを願って、ただただ待つ。
「大好きだよっ💕」
「ずっと一緒に居よっ(⋈◍＞◡＜◍)。✧♡」
「今日は来てくれてありがとう、愛してるよ～💘」
その言葉を、ただただ言えばいい。
可愛い子ぶって、ぶりっ子になればいい。
まぁ、そのせいでいじめられてるんだけど～
私は、可愛い。だから、無敵なんだ。どんなにいい子でも、どんなにダンスと歌がうまい子でも、可愛さには勝てない。
ぶりっ子は、アイドルにとって最大で最強なセンスだから。
お客さんは、だいたいおじさんだ。
臭いし、気持ち悪いし、なかにはとんでもない変態もいる。
私の事務所の先輩で、下着を取られた子もいるらしい。本当に変態な奴もいるらしい。
　あぁ、家が恋しくなってきた。
日葵ちゃんに、会いたい。昨日までは、日葵ちゃんの悪口を言いまくっていた。
だけど、今頃、どうしてるかな。お姉ちゃ～んって言って、思い切り抱き着きたいよ～
本当は大好きなのに、日葵ちゃん、ごめんなさい。
（うわ～ん😢）
でも、蒼空くんが怒っちゃったらどうしようかな。
せっかく家に招待してくれて、一緒に寝たのに、もう「バイバイ」なんて言ったら…
また、殴られるかもしれない。
嫌だな。でも、蒼空くん、結構いい人だし、私にふさわしいよ！
なにより顔がいい。
お互いアイドルの秘密の交際。何だかドキドキする。
週刊誌は、私と蓮くんの熱愛報道ばかり気にしているけど、私、蓮くんはそんなにタイプじゃないんだよね～
しかも、蓮くんはなぜか、私だけに冷たいし。
別に、好きじゃないけど、悲しいな。
最後に、もう一回言う。私は、可愛い。だから、無敵なんだ。