陰陽師の花嫁

それから数日が経った。

「優菜、怪我はもういいの?」

顔にガーゼを貼った優菜の顔を見て、恭弥が尋ねた。

「はい。もうすっかり良くなりました」

「あの時、胡蝶が知らせてくれたんだ」

「ほんとうに間に合ってよかったです」

胡蝶は恭弥の式神らしい。

青い蝶が、胡蝶の仮の姿なのだそうだ。

「すまない。あの時僕が近くにいれば…」

「気になさらないでください。私はこうして元気ですから」

「実は優菜と別れたあと、藤宮家に行っていたんだ」

恭弥は、藤宮家の当主に優菜のことを聞きに行った。

「どうやら君は、ご当主のお姉さんの子供だったようなんだ」

「え?」

それを聞いた優菜は、驚愕した。

「あの家の本当の娘は、愛菜だけだったらしい。君のご両親は、君が生まれてすぐに亡くなって、夢見の力はお母さん譲りだと教えてくれた」

(そんな…血が繋がっていなかったなんて…)

「藤宮家のご当主は、自分の娘よりも強い力を持っていると、不利になると考えて、君の力を封印した。でも時間が経って、封印が解けかかっていたんだ」

「そうだったんですね…」

「愛菜は、今回のことで厳しい家に奉公に行くことになったらしい。両親にも、もう関わらないように言ったから、心配いらないよ」

それを聞いてホッとした。

「それと、これ」

恭弥が綺麗な櫛を優菜に渡した。

「受け取ってくれると嬉しいな」

「ありがとうございます」

優菜は、嬉しそうに櫛を受け取った。

「これからもよろしくね。僕の花嫁」