翌朝は、美味しそうな匂いで目が覚めた。台所では老女中が忙しなく朝の支度をしている。千種の母も、膳を用意したりと忙しそうにしていた。
「もう少し待ってちょうだいね」
静かな朝だった。昨夜の騒がしさが嘘のようだ。千種と並んで座り、ぼんやりしていると膳が運ばれてきた。
「さ、たんと召し上がってちょうだいな」
千種の母は嬉しそうに言った。
「いただきます」
手を合わせると、そういえば昨夜からろくに食べていないことを思い出す。炊きたての白米をかき込み、味噌汁を啜る。千種の言うように、だるま屋の味に似ていた。
半分ほど食べた頃だ。
「あなたたち、何か派手に遊んだの?」
無邪気に訊ねられ、白米が喉に詰まりそうだった。それは千種も同じだったようで、隣でむせている。
「な――何もしていませんよ。なあ、藤嗣」
「ああ、何も……」
何度も頷く。
「嘘おっしゃい。昨日は警察の方が来ていたわ」
警察、という単語に表情が強張る。
「な……何かされませんでしたか、母さん」
「何もないわ。うちには関係のないことですって帰っていただいたもの」
ふんわりと柔らかな印象のある人だが、だからこそ警察を押し返す強さを持っているのかもしれない。警察の手はここまで伸びていたのか。皆はどうなっただろう。
「無事に寮に着いていれば良いな」
「問題ないだろ。皆、それぞれ別の働き口を探すよ。父にも頼んでみる」
計画をしっかり立てているつもりで穴だらけだった。
「小花さんは、黒田さんと会うに困らない場所に勤められればいいけどなあ」
近くて、安全で、会いたい時に会える――。
「千種、ここに置いて貰うのはどうだろう」
警察も追い返したというではないか。ならば、どこよりも安全だ。
「……僕に聞くなよ」
千種は溜息をついて顎をしゃくる。その先には、身を乗り出さんばかりに楽しげな千種の母がいた。
「なあに、楽しそうなお話ね」
「母はこういう人なんだ」
ゆっくりと食事を摂り、千種の家を辞した。学校までは電車を使わずに歩いて向かった。鎌倉まで歩いたという老教師の言葉を思い出したのだ。
道中、下らない話ばかりをした。千種は藤嗣の家族の話を聞きたがった。
「姉には頭が上がらないんだ」
「そうだろうね」
そう言いながら笑う。
「笑うけどな、夜に蛙を顔に乗せられたりするんだぞ」
「それは面白い姉君だな」
「お陰で蛙が――」
言いかけて、あっと口をつぐむ。
「苦手なのか?」
「……」
「苦手なんだな」
「また脅すのか?」
「人聞きの悪いことを言うな」
けれど、千種にならば弱みを握られても良いかとも思った。助けられた手前もあるが、ちゃんと説明をしないだけで道理は分かっている男だ。悪用することはない筈だ、きっと。その証拠に。
「脅しなんてしないよ。藤嗣の好きなもの、嫌いなもの、色々知りたいだけだ」
「だったら、千種も教えろよ」
嫌だ、と一蹴されるだろうと思っていたのに。
「構わないよ、藤嗣なら」
思いもしなかった返事に呆気にとられる。
「変な顔だな」
そう言って千種は笑った。
学校に着く頃にはとうに授業が始まっている時間だった。
「怒られるだろうなあ」
「もうサボればいいさ」
「不真面目だな、千種」
「藤嗣に言われたくはないね」
顔を見合わせて笑い合う。教師に気づかれないよう、こそこそと学内の奥に位置する寮に向かった。誰もいないだろうと思っていたのに。
寮の前には学生たちがずらりと並んでいる。学生たちだけではない、大勢の女性たちも一緒だ。
「お前ら、朝帰りとは良い度胸だな!」
そんな冷やかしに迎えられる。
「いや、もう昼だぞ」
「なにしてたんだ?」
「羨ましいでしょう」
千種はふざけで藤嗣の腕に絡みつく。それを見た学生たちは、口笛を吹いてからかった。以前ならば呆れていただろうが、今はそんな気持ちにはならなかった。
「先輩方も、綺麗所と一緒じゃないですか」
女性たちは、逃げ出せた娼妓だろう。皆、襦袢の上から学生服やら破れた柔道着やらを羽織っている。
「松原さあん!」
一人の女声が藤嗣を呼んだ。小花だ。
駆け寄ってきて、藤嗣の手を取る。
「ありがとうございます。皆、見世から逃げ出せたのよ」
「本当ですか!」
あの騒動の中、多くの娼妓が店を出ることができたのだという。
「皆さんが匿ってくださったの」
そう言ったのは、他の女性だ。きれいに結っていたはずの髪は乱れ、白粉はすっかり落ちている。だが、どんな化粧を施しているよりも美しかった。晴れ晴れとした瞳で未来を見つめている。
「ストームに紛れて、ねえ」
「そうそう。あの時の主人の顔ったら」
さんざん彼女らを苦しめていたらしい主人の、悲壮な顔。それを思い出したのか、彼女らは声を上げて笑う。
「警察は来ませんでしたか」
千種の家にも来たのだから、ここにも来ないはずがない。すると、小花はまた一段とはしゃいだ声を上げた。
「こちらの先生は、勇気のある方ね!」
「先生が?」
藤嗣の疑問を、寮の幹部が引き取る。
「宿直の先生が追い返してくれましたよ。いつも怒らない方が怒ると、気迫が違いますねえ」
昨夜の宿直は、あの藤嗣の背を押してくれた老教師ではなかったか。知らない所で支えてくれていたのだ。
「自由廃業の手続きが済むまで、彼女らには寮に住んでもらう。問題ないな!」
もう一人の幹部が声を上げる。
「おう!」
皆が拳を突き上げて応じた。
「我々は紳士です。淑女の皆さん、安心してお過ごし下さい」
幹部がそう言いながらお辞儀をすると、彼女たちは、まあかわいらしい、と楽しげな声を上げたのだった。
自由廃業が済むまで、ストームは行われなかった。汚かった寮は女性たちが隅々まで掃除してくれたおかげで、見違えるようにきれいになった。
手続きは、千種の母が手伝ってくれたおかげで首尾よく進み、一人、また一人と女性は寮から去っていった。千種家の伝手や、自身の知り合いを頼りにして新しい職に就くのだそうだ。
小花は、元の――サチという名に戻り、千種の母の家に住み込みで働くことになった。
「ばあやも助かると喜んでいるわ」
「ありがとうございます、奥方さま」
「まあ、奥方さまなんてやめてちょうださい、サチさん」
そんな微笑ましいやり取りをしながら、サチは寮を去っていった。
「いつでも遊びに来てちょうだいな」
自身の息子と藤嗣と、そして黒田にそうきっちりと念を押していった。
「園田、兄たちは大丈夫だったか?」
あの騒ぎの中、一番割りを食ったのは彼らだったろう。しかし、園田は気にすることはない、とあっけらかんとしていた。
「また兄の度を越した遊びか、と両親とも呆れているだけだ」
「しかし――」
警察沙汰にまでなったのだ。園田の家の名に傷が付かなければ良いが。
「大丈夫。兄貴も暴れられて楽しかったと言っているよ」
それは、藤嗣への気遣いではなく本当のことのようだった。
学校中どころか大勢の人々を巻き込んだ街頭ストームは、こうして幕を下ろしたのだった。
それから、数週間が経った頃。次姉から手紙が届いた。小説の催促だろうと思いながら恐る恐る封を切る。
――藤嗣さん。聞いて下さい。姉から許可を貰って、短歌の会に参加できることになりました。
文字からはしゃいでいる様子が伝わってきた。読書や学問という楽しみを奪われた次姉にとって、短歌の会への参加とは夢のようなことだろう。
そこで知り合った人々は性別など気にせずにそれぞれが作った作品に向き合い、切磋琢磨しているという。
もちろん、小説の催促も忘れてはいなかったし、小花たちはどうなったのかと訊ねることは忘れていなかった。それでも、次姉は春の頃より前向きに日々を過ごしているのが読み取れた。
「良かったじゃないか」
届いた手紙の内容を千種に伝えると、我がことのように喜んでくれた。
「ああ。本当に良かった」
不意に、扉を叩く音がした。
「はい」
返事をすると、様子を伺うようにゆっくりと扉が開く。顔を覗かせたのは黒田だった。
「千種、頼みがあるのだ」
改まった口調に、千種は背筋を正す。
「はい、なんでしょうか」
「あの、なんだ。今日は日曜日で天気もいい」
「そうですね」
窓から差し込む陽の光は、黒田の言うように気持ちがいい。
「だから、ではないが。出かける予定はあるか」
「いえ、特には」
「出かけないのか、こんなに天気もいいのに! 日曜日なのに!」
「はい。今日は別にどこにも。なあ、藤嗣」
「ああ」
実際、出かける予定はなかった。黒田は天井を仰ぎ見、拳を握りしめる。それでさすがの藤嗣も気付いた。サチに会いたいのだ。鈍い鈍いと言われる藤嗣でさえ気付いたのだから、千種は当たり前のように察していた。言い出せないでいる黒田に救いの手を伸ばす。
「ああ、でも。そろそろ母に顔を出すように言われてました」
ぱっと黒田の表情が華やぐ。
「大勢で行くと、母も喜びます。藤嗣も行くでしょうから、黒田さんも一緒にどうです?」
「良いのか?」
「当然です」
「恩に着る、千種!」
まだ頼めていない小説の題材の件を話してみよう。そう思いながら出かける支度を始めるのだった。
「もう少し待ってちょうだいね」
静かな朝だった。昨夜の騒がしさが嘘のようだ。千種と並んで座り、ぼんやりしていると膳が運ばれてきた。
「さ、たんと召し上がってちょうだいな」
千種の母は嬉しそうに言った。
「いただきます」
手を合わせると、そういえば昨夜からろくに食べていないことを思い出す。炊きたての白米をかき込み、味噌汁を啜る。千種の言うように、だるま屋の味に似ていた。
半分ほど食べた頃だ。
「あなたたち、何か派手に遊んだの?」
無邪気に訊ねられ、白米が喉に詰まりそうだった。それは千種も同じだったようで、隣でむせている。
「な――何もしていませんよ。なあ、藤嗣」
「ああ、何も……」
何度も頷く。
「嘘おっしゃい。昨日は警察の方が来ていたわ」
警察、という単語に表情が強張る。
「な……何かされませんでしたか、母さん」
「何もないわ。うちには関係のないことですって帰っていただいたもの」
ふんわりと柔らかな印象のある人だが、だからこそ警察を押し返す強さを持っているのかもしれない。警察の手はここまで伸びていたのか。皆はどうなっただろう。
「無事に寮に着いていれば良いな」
「問題ないだろ。皆、それぞれ別の働き口を探すよ。父にも頼んでみる」
計画をしっかり立てているつもりで穴だらけだった。
「小花さんは、黒田さんと会うに困らない場所に勤められればいいけどなあ」
近くて、安全で、会いたい時に会える――。
「千種、ここに置いて貰うのはどうだろう」
警察も追い返したというではないか。ならば、どこよりも安全だ。
「……僕に聞くなよ」
千種は溜息をついて顎をしゃくる。その先には、身を乗り出さんばかりに楽しげな千種の母がいた。
「なあに、楽しそうなお話ね」
「母はこういう人なんだ」
ゆっくりと食事を摂り、千種の家を辞した。学校までは電車を使わずに歩いて向かった。鎌倉まで歩いたという老教師の言葉を思い出したのだ。
道中、下らない話ばかりをした。千種は藤嗣の家族の話を聞きたがった。
「姉には頭が上がらないんだ」
「そうだろうね」
そう言いながら笑う。
「笑うけどな、夜に蛙を顔に乗せられたりするんだぞ」
「それは面白い姉君だな」
「お陰で蛙が――」
言いかけて、あっと口をつぐむ。
「苦手なのか?」
「……」
「苦手なんだな」
「また脅すのか?」
「人聞きの悪いことを言うな」
けれど、千種にならば弱みを握られても良いかとも思った。助けられた手前もあるが、ちゃんと説明をしないだけで道理は分かっている男だ。悪用することはない筈だ、きっと。その証拠に。
「脅しなんてしないよ。藤嗣の好きなもの、嫌いなもの、色々知りたいだけだ」
「だったら、千種も教えろよ」
嫌だ、と一蹴されるだろうと思っていたのに。
「構わないよ、藤嗣なら」
思いもしなかった返事に呆気にとられる。
「変な顔だな」
そう言って千種は笑った。
学校に着く頃にはとうに授業が始まっている時間だった。
「怒られるだろうなあ」
「もうサボればいいさ」
「不真面目だな、千種」
「藤嗣に言われたくはないね」
顔を見合わせて笑い合う。教師に気づかれないよう、こそこそと学内の奥に位置する寮に向かった。誰もいないだろうと思っていたのに。
寮の前には学生たちがずらりと並んでいる。学生たちだけではない、大勢の女性たちも一緒だ。
「お前ら、朝帰りとは良い度胸だな!」
そんな冷やかしに迎えられる。
「いや、もう昼だぞ」
「なにしてたんだ?」
「羨ましいでしょう」
千種はふざけで藤嗣の腕に絡みつく。それを見た学生たちは、口笛を吹いてからかった。以前ならば呆れていただろうが、今はそんな気持ちにはならなかった。
「先輩方も、綺麗所と一緒じゃないですか」
女性たちは、逃げ出せた娼妓だろう。皆、襦袢の上から学生服やら破れた柔道着やらを羽織っている。
「松原さあん!」
一人の女声が藤嗣を呼んだ。小花だ。
駆け寄ってきて、藤嗣の手を取る。
「ありがとうございます。皆、見世から逃げ出せたのよ」
「本当ですか!」
あの騒動の中、多くの娼妓が店を出ることができたのだという。
「皆さんが匿ってくださったの」
そう言ったのは、他の女性だ。きれいに結っていたはずの髪は乱れ、白粉はすっかり落ちている。だが、どんな化粧を施しているよりも美しかった。晴れ晴れとした瞳で未来を見つめている。
「ストームに紛れて、ねえ」
「そうそう。あの時の主人の顔ったら」
さんざん彼女らを苦しめていたらしい主人の、悲壮な顔。それを思い出したのか、彼女らは声を上げて笑う。
「警察は来ませんでしたか」
千種の家にも来たのだから、ここにも来ないはずがない。すると、小花はまた一段とはしゃいだ声を上げた。
「こちらの先生は、勇気のある方ね!」
「先生が?」
藤嗣の疑問を、寮の幹部が引き取る。
「宿直の先生が追い返してくれましたよ。いつも怒らない方が怒ると、気迫が違いますねえ」
昨夜の宿直は、あの藤嗣の背を押してくれた老教師ではなかったか。知らない所で支えてくれていたのだ。
「自由廃業の手続きが済むまで、彼女らには寮に住んでもらう。問題ないな!」
もう一人の幹部が声を上げる。
「おう!」
皆が拳を突き上げて応じた。
「我々は紳士です。淑女の皆さん、安心してお過ごし下さい」
幹部がそう言いながらお辞儀をすると、彼女たちは、まあかわいらしい、と楽しげな声を上げたのだった。
自由廃業が済むまで、ストームは行われなかった。汚かった寮は女性たちが隅々まで掃除してくれたおかげで、見違えるようにきれいになった。
手続きは、千種の母が手伝ってくれたおかげで首尾よく進み、一人、また一人と女性は寮から去っていった。千種家の伝手や、自身の知り合いを頼りにして新しい職に就くのだそうだ。
小花は、元の――サチという名に戻り、千種の母の家に住み込みで働くことになった。
「ばあやも助かると喜んでいるわ」
「ありがとうございます、奥方さま」
「まあ、奥方さまなんてやめてちょうださい、サチさん」
そんな微笑ましいやり取りをしながら、サチは寮を去っていった。
「いつでも遊びに来てちょうだいな」
自身の息子と藤嗣と、そして黒田にそうきっちりと念を押していった。
「園田、兄たちは大丈夫だったか?」
あの騒ぎの中、一番割りを食ったのは彼らだったろう。しかし、園田は気にすることはない、とあっけらかんとしていた。
「また兄の度を越した遊びか、と両親とも呆れているだけだ」
「しかし――」
警察沙汰にまでなったのだ。園田の家の名に傷が付かなければ良いが。
「大丈夫。兄貴も暴れられて楽しかったと言っているよ」
それは、藤嗣への気遣いではなく本当のことのようだった。
学校中どころか大勢の人々を巻き込んだ街頭ストームは、こうして幕を下ろしたのだった。
それから、数週間が経った頃。次姉から手紙が届いた。小説の催促だろうと思いながら恐る恐る封を切る。
――藤嗣さん。聞いて下さい。姉から許可を貰って、短歌の会に参加できることになりました。
文字からはしゃいでいる様子が伝わってきた。読書や学問という楽しみを奪われた次姉にとって、短歌の会への参加とは夢のようなことだろう。
そこで知り合った人々は性別など気にせずにそれぞれが作った作品に向き合い、切磋琢磨しているという。
もちろん、小説の催促も忘れてはいなかったし、小花たちはどうなったのかと訊ねることは忘れていなかった。それでも、次姉は春の頃より前向きに日々を過ごしているのが読み取れた。
「良かったじゃないか」
届いた手紙の内容を千種に伝えると、我がことのように喜んでくれた。
「ああ。本当に良かった」
不意に、扉を叩く音がした。
「はい」
返事をすると、様子を伺うようにゆっくりと扉が開く。顔を覗かせたのは黒田だった。
「千種、頼みがあるのだ」
改まった口調に、千種は背筋を正す。
「はい、なんでしょうか」
「あの、なんだ。今日は日曜日で天気もいい」
「そうですね」
窓から差し込む陽の光は、黒田の言うように気持ちがいい。
「だから、ではないが。出かける予定はあるか」
「いえ、特には」
「出かけないのか、こんなに天気もいいのに! 日曜日なのに!」
「はい。今日は別にどこにも。なあ、藤嗣」
「ああ」
実際、出かける予定はなかった。黒田は天井を仰ぎ見、拳を握りしめる。それでさすがの藤嗣も気付いた。サチに会いたいのだ。鈍い鈍いと言われる藤嗣でさえ気付いたのだから、千種は当たり前のように察していた。言い出せないでいる黒田に救いの手を伸ばす。
「ああ、でも。そろそろ母に顔を出すように言われてました」
ぱっと黒田の表情が華やぐ。
「大勢で行くと、母も喜びます。藤嗣も行くでしょうから、黒田さんも一緒にどうです?」
「良いのか?」
「当然です」
「恩に着る、千種!」
まだ頼めていない小説の題材の件を話してみよう。そう思いながら出かける支度を始めるのだった。
