放課後、薫子と共に帰ろうとしていたタイミングだったので、私の視線は薫子へ向いた。
「じゃ、私は先に帰るから」
薫子がトンッと私の背中を押して教室を出ていく。
いつの間にか他の生徒たちもいなくなって、教室にはふたりきりだ。

なんとなく緊張してきて、ジワリと体が熱くなってくる。
以前自分が篤志くんを呼び出したときのことを思い出して窓の外へ視線を向けた。
今日もあの日と同じような快晴で、外のグラウンドからは部活動に励む生徒たちの声が聞こえてくる。
完璧な青春のいちページ。

「唯に謝ってほしい」
完璧な青春のいちページはまたも砕け散った。
私は覚めた視線を篤志くんへ向ける。
「なんで？」