飯田くんが篤志くんにヘッドロックをきめて羨ましそうに嘆いてみせる。
それで篤志くんは少しは元気になったように見えたけれど、やっぱりいつもの篤志くんじゃない。
「もういいんじゃない」
薫子とトイレに行ったときそう言われてもなんのことだかわからなかった。
「もういいって、なにが?」
「唯の裏アカのことだよ。篤志くんも参ってるみたいだし、そろそろグループラインで送ってもいいんじゃない?」
薫子の言葉に私は目を丸くした。
「グループラインって、クラスの?」
「それ以外になにがあんの?」
赤い色つきリップを丁寧にぬり直しながら答える薫子に、私は黙り込んだ。