俺の能力、便意操作なんだが

「村を捨てて出るしかないのかな…」

「お、俺は…美里となら村を捨ててもいいって覚悟があるから」

どうする…
どっちにしても自由はなさそうだ

「村を捨てたとして、どうするの?住むところとか…」

「俺が最近知り合った人がいて、その人に頼んでみる」

「知り合った人?村の人じゃなくて?」

「あぁ、前におばぁを乗せて街の方まで行った時に知り合った人だ。その人も能力者らしいんだが、能力者同士で集まって助け合ってるらしいんだ」

誰だろ…
でもそんなこと気にしてられない

このままこの村にいたら自由なんてないんだから

「わかった。村をでるわ」

あたしがそう言うとケンスケは嬉しそうに

「じゃあ、俺はその知り合いに連絡取って、頼んでおくよ。それじゃあ一旦俺いくから」

と言って家から出ていった

ケンスケと村を…
なんだか駆け落ちみたいで、少しイヤだった


あたしは村の外れにある墓地にいった

そこには、あたしのお母さんのお墓がある
そこでお母さんに手を合わせ

「お母さん…ごめんね。あたし、この村でてくわ…」

と小声で呟いた


お母さんは、あたしを産んですぐ亡くなったそうで、もちろん顔も覚えてるわけがない
父親は誰かわからないと、おばぁが言ってた

でもあたしに防御の能力があるからおそらく白守の人間だろうと

白守一族は、白守同士の子供は必ず能力者が産まれ、いずれも防御に特化した能力がつく

昔おばぁに連れられて、ある能力者にあたしを見てもらったようだ

その人は、能力の系統がわかる能力者で
あたしに防御能力があるのかどうか
あたしの父親は白守の人間なのかどうか
それを確かめるために、その能力者に診てもらった

結果は
"非能力者"

「能力者特有のオーラがなにも見えない」と言われたらしい
つまりは、白守美里の父親は白守の人間ではないということだ

それからおばぁは色々悩んだらしい
白守の血が半分しか入っていないあたしをどうするか

里子に出すことも考えたらしいが、結局は村のみんなで育てることにした


あたしが物心ついてきたときからは断片的に記憶がある

村の子供達で、隠れんぼをしていたときのことだ
あたしが鬼になると、すぐにみんなを見つける

まるでどこにいるのかわかっているかのように

それを不思議に思った村の大人がおばぁに言って、あたしに聞きにきた記憶はある

「美里、なんでみんなが隠れてるところがわかるんだ?」

「人に白いモヤみたいなのが見えて、それが離れていても頭の中に浮かぶ」

「白いモヤ?みんなに白いモヤが見えるのかい?」

「うん。おばぁにも白いモヤあるよ」

それからあたしはまた、おばぁに連れられて能力者に会いに行った

しかし、その能力者は
「やっぱり能力者特有のオーラが見えない」
と言った

「どういうことだ?美里、たしかにモヤが見えるんだよね?」

「うん。この人にもモヤが見える。でもね…おばぁ…」

「……どうしたんだい?」

「ここに来るまでにすれ違った人達にモヤは見えなかったの…村の人達には全員白いモヤが見えてたのに」

あたしがそんなこというもんだから、大混乱したとおばぁは言ってた

結局いろいろ調べたところ、あたしには――

"他の能力者の能力が干渉しない"

という、たしかな防御能力があるとわかった

そしてもうひとつ
白いモヤを見る力。それも探知能力と呼べるらしい

つまり、白守美里には
防御能力と探知能力、ふたつの能力があるということになる

それはすぐ村中に知れ渡り
どこか腫れ物として扱われていたあたしも
白守の人間として見られるようになった

そんな子供のときのことを、誰もいない墓地で1人思い出していた