俺の能力、便意操作なんだが

──約百八十年。
長きに渡り因縁を抱え、互いを許さず、交わらぬ道を歩んできた――金守家と白守家。

だが、いまここに。
かつてのように手を取り合い、共に歩む意思を示すべき時が来た。

金守家より"金守権蔵"、白守家より"白守美里"。

両家の若き者たちの婚姻をもって、百八十年にも及ぶ忌まわしき因縁を――ここに終結させることとする───




「はぁ?いやだ!!なんであたしの結婚相手を勝手に決められなきゃいけないのよ!」

あたしは目の前にいる"おばぁ"に向かってそう言う

「美里…これは白守一族の未来のためなんじゃ…わかってくれ」

しわしわのおばぁは、困ったような顔であたしにそう言った

「だっておばぁ見てよ!コイツ!スキンヘッドにムキムキだよ?絶対やだ!」

「金守家の権蔵さんはかなりの実力者らしいぞ」

「じゃなくて見た目がイヤだって言ってるの!!結婚するなら強いだけじゃなくて、カッコいい人がいいの!」

「お前に白守一族と金守一族の話はしたじゃろ?」

「昔は仲良かったとか、何十回も聞かされたわ」

「そうじゃ…それから色々あって180年も絶縁してたんじゃ」

「それがなんで今更仲直りすんのよ!しかもあたしを差し出すってことでしょ?わかってんの?」

「白守家と金守家が交わって産まれた子は、特別なチカラをもった子が産まれると言われておる。来るべき…あの不吉な時代に備えるためにも、美里にはたくさん金守家の子供を産んでほしいんじゃ」

「もう一度言うけど…いやだ!」

「お前がイヤと言っても、頭領であるワシと、金守家の頭領とで決めたことじゃ。今更変えられん」


あたしには生まれたときから自由なんてなかった
白守一族の娘として生まれた時点で、人生は決められてた

強さが全て。血筋がすべて。
それ以外はただの道具として見られているだけ

気持ち悪い一族…
大嫌い


おばぁが家を出ると、すぐに男が入ってきた
白守ケンスケだ

ケンスケは同じ歳で、昔から一緒に修学してきた仲間だ

「美里…さっき聞いた。お前金守のところに行くんだってな」

「ふん。行かない。行きたくもない」

「1週間後に顔合わせがあるらしい…そのときの付き添いを頼まれた…」

ほら、承諾もしてないのに勝手に進めてる

「行かないって!」

「俺からもおばぁに言ってやる!美里じゃなくてもいいだろって」

「なに言っても無駄。おばぁは今まで意見を変えたことなんてないし」

「じゃあどうするんだよ!今まで通り、白守家の中から相手を選ぶと思ってたのに…」

「それもイヤだし。あたしは結婚相手を白守家から選ぶつもりはない。みんなあたしより弱いじゃん」

「お、俺と…村を…出るか?ふ…2人でどっかで暮らす……とか」


村を出るか…
ずっと考えてたことだ

ケンスケがあたしに気があることはわかっていた
1人で村を出ても、右も左も分からないあたしは、うまく暮らせるか不安だったが、ケンスケも協力してくれるなら…

もちろんあたしはケンスケのことなんとも思ってないけど

あたしは黙って考えていた