俺の能力、便意操作なんだが

外に出ると親父は

「何回か言ったが、戦闘において大事なのは瞬発力だ。なぜだかわかるか?」

と俺に聞いてきた

「なんとなくわかるよ!」

「なんとなくじゃねぇ。考えろバカ」

「くっ…瞬発力があれば一気に相手に近づけるんだろ」

「30点だな。敵と対峙したとき、まず選択肢が2つある。戦うか…逃げるかだ」

「………」

「瞬発力があれば、逃げることもできるし、戦うとしても先行がとれる。お前が言ったように間合いも詰めれるし、逆に間合いを取ることもできる。色々選択肢が増えていくんだ」

俺は何も言わずに聞いてる

「重いオノ振り回しても当たらなきゃ意味がねぇ。腕ばっか鍛えて攻撃力高めても意味がないってことだな。それにな…」

親父がチラッと動いたかと思ったら
俺の目の前に親父の右拳があった

遅れて風圧が俺の髪を揺らす

「スピードが上がれば威力もあがる。わかったか」

まばたきすらできなかった

さっきの不良とは、ケタがいくつも違う

速ぇ…
心臓が、一瞬止まった気がした

俺は力強く頷いた


「とりあえず町内4周くらい軽く走るか。3キロくらいかな」

軽くでそんなにかよ
でも、そんなこと言ってられねぇ
俺は強くなるんだ

「とりあえずランニング程度のスピードで走るぞ。俺が手を叩いたら全速力で走れ。また手を叩くまでな」

「わかった」

俺がそう言って親子のランニングがスタートした

パンッ。親父が手を叩く

いきなりかよ!性格悪いな

俺は全速力で走る

パンッ。スピードを緩める
するとすぐまた、パンッと親父は手を叩いた

ホントに性格悪いな、クソ親父!

俺はまた全速力で走る

…………

なげぇ、早く止めてくれ

パンッ。と親父が手を叩き、ゆっくりになる

キツイ!これはキツすぎる

親父はまたすぐパンッと手を叩いた

いや、もう無理だ…

俺は全速力で走れず、立ち止まってハァハァ呼吸を整えようとしてた

「おい、まだ500mも走ってないぞ」

「せ…ハァ……性格…ハァ…悪すぎんだろ……ハァハァ…」

「お前戦闘のとき休んでられると思ってんのか?」

「そ、そうだけど……ハァ……ハァ…」

「まぁ、これで少しはわかっただろ。もっと体力つけろ」

「ハァ……あぁ」

「ちょっと休んだらまた再開するぞ。今度はもう少し優しくしてやる」

悔しい…
親父はずっと俺の横についてきてた
顔色ひとつ変えずに


閑静な住宅街の中。虫の音と、俺の荒い呼吸の息だけが聞こえる

俺は地面に座り、隣には親父がしゃがんでいた

「なぁ…晴翔。ちょっと聞きたいことあるんだが」

親父が神妙な面持ちで俺にそう言ってくる

「な、なんだよ……はぁ…はぁ…」

「お前…美琴さんとチューしたのか?」

突拍子もない質問に、俺はむせる

「ゴハァ、ゴホゴホッ!お前なに聞いてんだよ!」

「おい、静かにしろよ。もう時間も遅いんだぞ」

「だったら変なこと聞いてくるなよクソ親父」

「だってお前ら付き合ってないんだろ?それなのにエッチなことしようとしてるじゃんお前。そういうのは父さんキライ」

「え、エッチなことしようとしてねぇよ」

「あのままだったら仏間でおっ始めるところだったろ」

「し、しねーよ!バカじゃねぇのか?」

「とにかく、そういうのはちゃんと付き合ってからにしなさい。しかも白守の娘さんだぞ。もう白守に顔向け出来ねぇだろバカ」

たしかに正論だ

そういえば、俺の気持ち言ってねぇよな…
如月の気持ちもわからねぇ

キスしたんだから、悪くはないと思ってくれてると思うけど…

俺の気持ち…ちゃんと伝えなきゃな…