俺の能力、便意操作なんだが

湯船に浸かりながら、今日のことを思い出す

アイツの顔を思い出した瞬間、また頬が熱くなるのが自分でもわかる

いつからだろう…
こんなふうにアイツのことばかり考えるようになったのは…

湯気に包まれながら、あたしはそっと目を閉じた

思い出すのは───高校の入学式の日


1人の気になる男の子を見つけた

紫のオーラを纏っていたその子は、今まで見たどんな紫とも違っていた

澄んだ紫ではなくて、どこか濁っていて…でもだからこそ、目が離せなかった

他にも能力者は何人かいたけど、その子だけは、あたしにとって特別で…

なぜだか直感したの
――この子とは、きっといろんな出来事を共にすることになるって

まるで“運命”みたいに
……そう、“ビビビ”ときたの

でも別のクラスだったから話すこともなかったわ
わかったことと言えば彼の名前が"柊晴翔"だってことくらい

彼が他の子とあたしを見に来てたのも知ってた

話しかけたいけど、話しかけれない…
そんなんで1年が過ぎたのよ

2年生になってクラス替えの発表のとき
同じクラスに彼の名前を見つけて、嬉しかった…
話しかけて仲良くなりたいって…

でもなんだか話しかけられないし、話しかけてもくれない…
そんな日々を過ごしてたの


そしてあの日…
水泳の授業が終わって、更衣室に入ると
あたしの下着がなくなっていた

鍵はかかっていたし、鍵をかけたのもあたしだし…なにか能力を使わないと無理なんじゃないかって…

そして紫オーラの柊くんのことが頭に浮かんだの
まさか…彼が…ってね
でも絶対そんなことない。彼はそんなことに能力を使うような人じゃないって勝手に信じ込んで、クラスメイトの男子に聞いたの

「誰か体育の授業中いなくなった人いる?」

そしたら

「たしか柊が10分くらいトイレ行ってたな」

って…

それを聞いた瞬間すごく悲しい気持ちになったのを覚えてるわ

そして、ちゃんと彼に聞いてみよう
なにか理由があったのかもしれないし、もしかしたらまだ他の誰かの可能性もあるし

そう思って彼に、放課後体育館裏に来てもらうようにお願いしたの

ちゃんと話し合おうとしたわ
でも彼の顔を見ると言葉より先に、手がでていたの

お父さんやママに止められていた能力の話もしてしまったわ

なぜだか彼には素直にもなれないし、なんでも話してしまうし…
不思議な感じね

でも下着を盗んだのが彼じゃないとわかってホントにホッとしたの
やっぱりあたしの思った通りだって

それからはビビビときた通り、彼といろんな体験をしたわ

下着泥棒を追いかけたり、あたしの家でお父さんの誕生日を祝ったり

後輩の伊月の色仕掛けにまんまと引っかかって…
彼は変態だからね

あのあたりからかな…
いつも彼を目で追ってて、いつも彼のことを考え、いつも彼の声を思い出してるのは…

そして今日…とうとう彼と…

思い出すだけで体が熱くなる…

のぼせちゃう…もうあがろう

とにかく、彼と接するようになって1ヶ月半
短いんだけど、とても充実してて…

え、ちょっと待って…
1ヶ月半でキスしたって…

もしかしてあたしって軽い女?