俺の能力、便意操作なんだが

玄関で靴を履く

「てか浴衣にスニーカーって」

「そうなのよー、さすがにサンダルはなかったのー。でも美琴ちゃん可愛いから誰も足元まで見ないわよ」

めちゃくちゃ納得できる回答だ

「あの、浴衣は洗って返します」

「あぁ、いいのいいの!そんなもんでよかったら美琴ちゃんにあげるから」

親父からのプレゼントを"そんなもん"って酷すぎるだろ!

玄関で親父とオカンがお見送りをしてくれる

「美琴ちゃん、楽しんできてね。あ、晴翔に気をつけて」

車に気をつけてみたいに言うな!!

「晴翔…電話忘れるなよ」

だからそう言うの息子に言うんじゃねぇよ
10分おきにかけてやろーか?


もう…ホントに俺の親父とオカンは…アホなのか?

「じゃあ行ってくる」
俺はそう言って、玄関のドアを開けて押さえておく

如月が「お邪魔しました」と言ってペコリとお辞儀をして玄関を出たので、俺も玄関を出た

2人で夜祭の会場に向かって歩き出す

「フフフ、とても仲のいい夫婦ね」

「普通だろ」

「あら、今お見送りしてくれてた時、後ろ手で、手繋いでたわよ」

知りたくなかった情報ありがとよ!!


「うん。やっぱり理想の家族だったな。あたしがこうなりたいって思ってた家族」

そう言って笑顔になる如月を見ると胸が苦しくなる

「しかし浴衣って動きづらいのね。これじゃあハイキック出せないわ」

「浴衣でハイキックだす状況になるかっ!」

「誰かさんが興奮して襲ってきたら危ないじゃない?」

グッ…たしかに自分でも納得できる

そうして歩いていると浴衣を着てる人が多くなってきて、遠くのほうからガヤガヤ声が聞こえてくる

夜祭の場所に着くと、如月の顔がものすごい笑顔になる

「親父から金貰ってるから、遠慮なく言ってくれ」

「え?そんな、悪いわよ」

「いや、そうじゃないと親父にまた殴られる」

「うぅ…わかったわよ。ありがとう」

夜祭の会場に足を踏み入れると、光に照らされたテキ屋を一つずつ眺めては、如月は子供みたいに目を輝かせてはしゃいでいた

みんなが如月をチラチラ見て見惚れているかのようだ

どうだ?すごいだろ?
などと思わない…

できれば、浴衣姿ではしゃぐ如月を、誰の目にも触れさせず、俺一人で眺めていたいと思ってしまう

「ねぇ!あれなに!?」

「あぁ、あれは射的だな。当てて落としたらその景品が貰えるんだ」

「やってみたい!!」

いつもと違う如月で、子供っぽいし…

「ちょっと!今の見た?当たったのにビクともしなかったわ!」

いつもと同じで怒りっぽい…

「ねぇ次あれ食べてみたい!」

いつもと違ってめっちゃ食うし…

「的当てなんて楽勝よ!」

いつもと同じでなにやってもすげー…

「ん?どうしたの?疲れた?」

いつもと違って優しいし…

「ねぇ!すごく楽しい!!」

そう言って、とびっきりの笑顔を見せる如月は
いつもと同じでとても綺麗だ…

どの如月美琴も…俺は…

ヤバい……感情が爆発しそうだ



俺は如月美琴が………

好きだ