俺の能力、便意操作なんだが

ピンポーン

家のチャイムが鳴る

白守美里だ

ピンポンピンポン

俺は動かない

ガチャガチャとドアノブを回す音が聞こえる

「アキラくん。開けて!とりあえず話をしましょ」

俺は無視をした

これは逃げなのかなんなのか
まともに人付き合いした事のない俺にはわからない
このモヤモヤした感情もなんなのかさえわからない

ドンッ!バキッ!と、すごい音が鳴る

俺は恐る恐る玄関を見にいくと

玄関のドアを壊したであろう白守美里が、涙目になりながら立っていた

「……ドア、壊したのかよ…」

「なんで…なんでみんな…あたしから離れて行こうとするのよっ!」

「離れていくのは白守だろ!俺はまた1人になるんだ!」

心の中にあるものを白守美里にぶつける

「なんでよ…アキラくんは1人じゃないよ!!」

「前の業務に戻るんだろ?新しいパートナーと!こうやって会うこともほとんどなくなるんだろ!俺は…また前みたいに…」

「別に仕事以外で会っちゃダメって言われてないじゃん!普通に会いたいときに会えばいいじゃん!」

「そんな…でも白守は…俺なんかと会っても」

「この何日間だって会って仕事のこととかしてないでしょ…別に毎日会う必要もないけど、会いたいから会ってたんだよ…」

「………」

「……ねぇ。アキラくんは?楽しくなかった?ご飯食べたりお散歩したり、次の日の予定決めたり…あたしは…楽しかったよ」

「俺だって…楽しかった…だから白守がいなくなると思って…」

白守美里はそのまま俺のところへきて
俺を抱きしめた

「いなくならないよ…だからアキラくんもあたしの前からいなくならないで……」


気がつくと俺は白守美里の腕を引っ張り、部屋に連れてきた
そしてまた抱きしめた

「やっぱりアキラくんって強引だね…もしかしていつもこんな手口で連れ込んでる?」

「俺は白守しか…」

俺が言いかけてるときに白守の人差し指が、俺の唇を閉ざす

「みさと…今だけでもそう言って…」

「美里…」

俺たちはゆっくり口付けを交わす

心臓の鼓動が早まり、なにか込み上げてくるのがわかる

俺は白守美里の上着を全部脱がせる

細いカラダのラインと火傷の跡がでてくる

「あ、アキラくん…あたしこういうの初めてで…恥ずかしいんだけど」

そう言った美里に俺は…

───相澤明…

あ?

「おい!相澤明!」

俺はその声でハッと目を覚ます

周りを見回すと、狭い部屋、洗面台とトイレだけの独房みたいな場所だった

昔を思い出しながら寝てたのか…

「おいおい金守権蔵。今いいとこだったのによぉ、邪魔すんじゃねえよ」

そう俺はドアの方を向いて言う

「お前、"飛島一徹(とびしまいってつ)"について何か言うことないのか?」

「誰だよそれ知らねーよ」

「お前のあの物質を飛ばす能力を持ってたやつだ。発見された人骨は、飛島一徹の骨だとさっき判明した」

「あっそう。だからなんだよ」

「お前のあの飛ばす能力。10年以上前、白守美里との闘いで見せてたよな」

「そうだったっけ?ハゲのくせによく覚えてるな」

「ふざけないで答えろ。飛島一徹から奪ったんだろ?」

「あー、思い出した。たしか落ちてたから拾ったんだ。わりぃな交番に届けるべきだったわ」

「ふざけやがって…まぁいい。どうせお前はここから一生出れないんだ。また話したくなったら呼べ。飛島一徹の話なら聞いてやる」

そう言って小窓を強く閉め
金守権蔵はその場を離れていった


クソッ、マジでいいとこだったのによ

まぁいいか
昔のことを思い出す時間はまだまだある

俺はまた布団に転がり目を閉じた

何年経っても、まだ美里の声、カラダを覚えているからな