俺の能力、便意操作なんだが

中庭で白守美里とゆっくりしていると

「あー、いたいたー」

と聞いたことのある声がする

白守美里が今まで以上に明るい笑顔になる

「柊先輩!!!」

白守美里は走って柊さんのとこまで行った

「先輩!メロンは?普通果物とかお見舞いで買ってきますよ!」

「あぁ?わりー。なんにも買ってねぇわ」

「そういうとこ先輩はダメなんですよ!」

またいつものようにじゃれあいながら俺のとこにくる

「おう、相澤。大丈夫か?どっかおかしいとこねえか?」

「あぁ。俺は大丈夫だ」

「2人に話があるから来たんだがちょうど良かった。2人いっぺんに話せる。楓から聞いたと思うが…」

白守美里から笑顔が消えた

「俺は組織を抜けることにした。相澤とは少しの付き合いだが白守とは2年くらいか?世話になったな」

白守美里は何も言わない

「おい白守。引き継ぎだ。お前に言いたいことがある。返事は?」

白守美里は声を震わせながら

「はい!」

と言った

「白守。お前の格闘センスは男にも引けを取らない。正直俺でさえお前に勝てる気がせん…でもお前は感情的になりすぎだ。もっと冷静になれ」

「はい!」

「これからはお前が指揮をとっていくことになる。感情は力を増幅もさせるが判断を失う。これからはもっと冷静に考えて行動しろ」

「はい!」

「あ、あとは、えーと……」

柊さんの声が震えている
白守美里を見ると目から涙が溢れている

「おめぇは、いつもガキみたいにはしゃぐし…… おっちょこちょいだし……何回注意しても、聞きゃしねえ……」

「だがな……お前は、俺の……最高の相棒だった!!!」

「ありがどうございますっ!!…うっ…ぅ」

「白守!もっと嘘が上手くなれ!!そうすればお前は最高に"イイ女"だ!!以上!!!!」

「はい!!お世話になりましだ!!」

白守美里は深々とお辞儀をした

ポタポタと涙が地面を濡らす


しばらくそのまま時間が流れる

声を震わせながら柊さんがこう言った

「白守…悪いけど相澤と2人にしてくんねーか?男同士で話がある…」

白守美里はお辞儀をしたまま両手で涙を拭い、走ってその場からいなくなった


「ふぅ…わりぃな相澤…。別れってのはどうしても苦手だ。別に死ぬわけじゃないんだけどな」

そう言いながらポケットから新品のタバコを取り出す

「タバコ吸うのか?」

「アカリと白守がうるせーから、やめてたんだけどな。今日くらいは吸わせろ」

そう言ってタバコを口に咥えて
人差し指をタバコに近づける

「あ、そうだ。お前にチカラ取られたんだった。あちゃー、火で困ったことなんかなかったからライターとか持ってねぇぞ。お前ライターとかある?」

俺は自分の右手の人差し指を柊さんのタバコに近づける
そして人差し指から火をだした

「へー。もう使いこなしてるのか」

タバコの先が赤くなる

フーッと柊さんの口から煙が出てきて
タバコの香りがまとわりつく

「なぁ、相澤。そのチカラはお前に託した。どう使おうが勝手だがな、これだけは覚えておけ」

柊さんはまたタバコをフーッと吐きだすと

「能力に溺れるな。前も言ったけど、そんなもん無い方が幸せなんだ。お前が何を求めてんのか知らねぇが、チカラの使い方は間違えるなよ。それは誰かを救う武器にもなるし凶器にもなる」

と言った

俺は頷きもせず、真っ直ぐ柊さんを見た

「俺は、お前がどっかで道を踏み外しそうで、正直こえーんだわ」

「俺は自分が生きてる意味を見つけたいだけだ」

「だったら女でも抱いてろー。そっちの方がよっぽど健全だぜ」

「ふん。それが俺への引き継ぎか?」

「……白守を頼む」

「え…?」

「あいつのこと、この2,3日で大体わかったろ?あいつは危なっかしいんだよ。目が離せねぇ。あいつのこともお前に託すわ」

「し、白守さんは…柊さんのこと…」

「はぁ?アイツの感情も嘘だ。昔ちょっと助けたことがあってそれで懐いてるだけだよ。産まれたてのヒヨコみたいなもんだ。ただ近くに俺がいただけ」

だとしても俺に託すなんて…

「とにかくあいつのこともお前に任せたからな」

そう言ってタバコを地面に擦り付けて火を消す
そして吸い殻をポケットにいれて、またすぐ新しいタバコを咥えた

「相澤わりぃ。また火たのむ」

俺はまた人差し指で火をつけてあげて柊さんを見る

遠くを見ながら煙を吐く姿が
悔しいくらいにカッコよかった
なにもかも見据えてるかのような目で先を見てる…
俺もこうなりたい…

「なぁ柊さん…俺にもタバコ1本くれ」

すると柊さんはフーッと煙を吐いたあとくるっと後ろを向き

「バーカやめとけ、こんな不味いもん。それにな…」

「お前に能力と白守を渡したんだ。これ以上お前にはなんにもやらねーよ、欲張りめ」

と言って右手をあげてそのまま歩いてこの場を去った
柊さんはもう振り返らなかった
俺とタバコの香りだけを残して