俺の能力、便意操作なんだが

バスは完全に動き出したが、如月は真顔で俺を見てる

「あ、あれ?如月?」

お父さんのことを聞いたのが失敗だったのか?

今度は少し悲しそうな顔でゆっくりとこう言った

「あぁ…お父さんはね…本当のお父さんじゃないのよ…それにあの人は能力者じゃないわ」

はい、大失敗です!!
すみません!
運転手さん俺を殴ってくれませんか!?

「あたしの本当の父親は能力者よ…でも…」

「すまん如月!変なこと聞いて!大丈夫だ」

俺がそう言うと、如月は少しだけ笑顔を見せて

「ありがと…」

と言った


前に如月の家に行ったときにも感じた
如月の家族にはなにか普通じゃない過去がある
そこに触れちまった


気まずい空気のままバスは最初の停留所付近まできた

「次は〇〇〜〇〇〜」

たしかここで降りるんだよな…
俺が前に如月の家に行ったときのことを思い出すと、答え合わせのように如月が降車ボタンを押した

バスは停留所にゆっくり停まり
俺と如月はお金を払ってバスを降りる

この気まずい空気をなんとかしたかった俺は

「うおー、なんか緊張してきたな」

とちょっとふざけた感じで言った

如月はフッと笑って

「全然大丈夫だけど、ママに変なことしようとしないでね。あんたなんかすぐボコボコにされちゃうわよ」

と言った

いや、俺を暴漢かなんかだと思ってんのか?
でもいつもの如月に戻ったみたいで良かった


そうして歩いてると如月の相変わらずデカい家に着いた

やべぇ、なんか本当に緊張してきた


如月が玄関のドアを開けて
「ただいま」
と言うと、聞き覚えのある声で

「おかえりー美琴ー」
とドタドタ走ってくる声と音が聞こえる

如月のお父さんは玄関まで走ってきて俺を見るなり
「帰れぇぇぇぇ!」
と前と同じように叫んだ


ハハハ、相変わらずだ、このオッサン
でも本当の父親じゃないんだよな

そう思うとなんか複雑な気持ちになり
引きつった笑顔で俺も挨拶する

「こ、こんにちわ」

「はい、こんにちわ。そしてさようなら」

クソ!ファイナルビッグベン食らわすぞ

そんなことを思っていると

「ちょっと健一くーん。あたしが呼んだんだから意地悪しちゃダメよー」
と、如月のお母さんと思われる声が聞こえて
パタパタとスリッパの音が聞こえてきた

「ごめんねぇ柊くん」

そう言って俺の前に如月美琴のお母さんが現れたとき、俺の時間はまた止まった


キレイ…だけじゃなく可愛くもある…
光を纏ったかのような存在
美人って言葉だけじゃ足りないくらい
間違いなく如月美琴の母親だとわかる

てかこの親娘ヤバすぎだろ
本当に隣にいるオッサンを羨ましく思えた

なんでこんな変なオッサンがこんな美人捕まえられるんだよ

「さぁ、上がってちょうだい」

如月のお母さんにそう言ってもらって
俺はお母さんに挨拶も忘れ、フラフラと如月の家の中に入って行った