「プレノは、どの星が好き?」
「……そうですね、一番印象に残るのは、シリウス」
「……愛と絆の象徴、ね。なぜ?」
「私の色のない世界でも、シリウスはひときわ明るく、白いです。眩しいくらいに。でも、太陽と違って、シリウスは目を焼きません。いつまでも見ていられます」
「……プレノらしいわね」
そのような雑談を交わしながら、メテオ様が私を連れてきてくれたのは、星の宮の中庭。水晶でできた木のオブジェがほんのりとライトで照らされ少し幻想的な雰囲気を生み出し、いつも飛んでいる蛍がさらにその雰囲気に彩りを添える。ここでメテオ様はいつも私に星のお告げを教えてくれる。
私はメテオ様に何時しか呪いのことを話した。メテオ様を私は信頼し、尊敬している。そしてメテオ様もその私の気持ちを裏切ることなく、いつも優しく真摯に私に向き合ってくれる。
メテオ様が空を見始めると、私は一歩メテオ様から離れて立つ。メテオ様は、星を読むときは真剣な顔つきになる。雰囲気も少し変わる。星と会話しているように、私からは見えるのだ。
星読み様が星を見ているときは邪魔をしてはならない。これは暗黙のルールだった。邪魔をしてしまうと、星読み様は正確に星の声を聞き取ることができなくなってしまう。
私はしばらく蛍を眺めて、メテオ様がこちらを振り向いたら、それをやめてメテオ様を見た。これは、いつも同じようにやっていることだった。
メテオ様は少し浮かない顔をしていた。何か悪いお告げだったのだろうか。少し不安になった。
「明日、何か思い立ったことをすれば、道は開けるだろうとおっしゃっているわ」
「……思い立つ……こと……」
はっとする。それは、あの建物に行くことではないか。やはり、あそこには何かが……。
メテオ様は私の様子を見て、少しだけ笑った。なぜかはわからないけど、悲しそうにも見えた。でも、そのお告げ自体は悪いことではない、ように私には感じられた。
「思い当たることはあるようね」
メテオ様が問いかけた。わたしは頷きを返す。
「はい。確信は持てませんが、やるべきことは定まった気がします」
「そう」
メテオ様は今度ははっきりと寂しそうな笑みを浮かべた。何かを言いたげな、もどかしげにしていたが、やがてふるりと首を振る。そして胸にぎゅっと握った手を当て、何かを唱える。
メテオ様が私と視線を合わせた。私がじっと彼女の目を見ていると、その目が見ている先は段々と落とされて行き、私の胸元で止まる。彼女は握っていた手を開き、私の胸にそっとあてた。
「プレノを守って」
ふわ、と彼女の手が発光する。暖かい波動が私の中に浸透していくのがわかる。私は拒否せずに、それを受け入れる。
これは魔法だ。星読み様やお貴族様など、才のある者は魔法と呼ばれるものを使えるらしい。攻撃したり、守ったり、加護を与えたり。神々へのお祈りもその一部。私は使えないが、メテオ様たち星読み様が使っているのは何度か見たことがある。これもその魔法の一種だろう。
その波動はやがて全身へいきわたり、それをメテオ様も感じ取ったのか、手を離した。
「……プレノ。気を付けてね」
なおも寂しそうなほほえみを消さないメテオ様に、私は少し胸騒ぎを覚えた。このお告げには、私が感じ取れない暗い面があるのかもしれない。なにが悪いのだろうか。
「……そうですね、一番印象に残るのは、シリウス」
「……愛と絆の象徴、ね。なぜ?」
「私の色のない世界でも、シリウスはひときわ明るく、白いです。眩しいくらいに。でも、太陽と違って、シリウスは目を焼きません。いつまでも見ていられます」
「……プレノらしいわね」
そのような雑談を交わしながら、メテオ様が私を連れてきてくれたのは、星の宮の中庭。水晶でできた木のオブジェがほんのりとライトで照らされ少し幻想的な雰囲気を生み出し、いつも飛んでいる蛍がさらにその雰囲気に彩りを添える。ここでメテオ様はいつも私に星のお告げを教えてくれる。
私はメテオ様に何時しか呪いのことを話した。メテオ様を私は信頼し、尊敬している。そしてメテオ様もその私の気持ちを裏切ることなく、いつも優しく真摯に私に向き合ってくれる。
メテオ様が空を見始めると、私は一歩メテオ様から離れて立つ。メテオ様は、星を読むときは真剣な顔つきになる。雰囲気も少し変わる。星と会話しているように、私からは見えるのだ。
星読み様が星を見ているときは邪魔をしてはならない。これは暗黙のルールだった。邪魔をしてしまうと、星読み様は正確に星の声を聞き取ることができなくなってしまう。
私はしばらく蛍を眺めて、メテオ様がこちらを振り向いたら、それをやめてメテオ様を見た。これは、いつも同じようにやっていることだった。
メテオ様は少し浮かない顔をしていた。何か悪いお告げだったのだろうか。少し不安になった。
「明日、何か思い立ったことをすれば、道は開けるだろうとおっしゃっているわ」
「……思い立つ……こと……」
はっとする。それは、あの建物に行くことではないか。やはり、あそこには何かが……。
メテオ様は私の様子を見て、少しだけ笑った。なぜかはわからないけど、悲しそうにも見えた。でも、そのお告げ自体は悪いことではない、ように私には感じられた。
「思い当たることはあるようね」
メテオ様が問いかけた。わたしは頷きを返す。
「はい。確信は持てませんが、やるべきことは定まった気がします」
「そう」
メテオ様は今度ははっきりと寂しそうな笑みを浮かべた。何かを言いたげな、もどかしげにしていたが、やがてふるりと首を振る。そして胸にぎゅっと握った手を当て、何かを唱える。
メテオ様が私と視線を合わせた。私がじっと彼女の目を見ていると、その目が見ている先は段々と落とされて行き、私の胸元で止まる。彼女は握っていた手を開き、私の胸にそっとあてた。
「プレノを守って」
ふわ、と彼女の手が発光する。暖かい波動が私の中に浸透していくのがわかる。私は拒否せずに、それを受け入れる。
これは魔法だ。星読み様やお貴族様など、才のある者は魔法と呼ばれるものを使えるらしい。攻撃したり、守ったり、加護を与えたり。神々へのお祈りもその一部。私は使えないが、メテオ様たち星読み様が使っているのは何度か見たことがある。これもその魔法の一種だろう。
その波動はやがて全身へいきわたり、それをメテオ様も感じ取ったのか、手を離した。
「……プレノ。気を付けてね」
なおも寂しそうなほほえみを消さないメテオ様に、私は少し胸騒ぎを覚えた。このお告げには、私が感じ取れない暗い面があるのかもしれない。なにが悪いのだろうか。



