極彩色の祈り

「あら、スミア、プレノ、いらっしゃい。今日も来たの?」
「こんばんは、メテオ様。すみません、またこんな夜にお邪魔してしまって」
 私がそうあいさつすると、気にしないで、と星読み様であるメテオ様はそう言った。メテオ様はいつも私たちの面倒を見てくれる星読み様だ。彼女曰く子供が好きで、いつも私たちの来訪を楽しみにしてくれているそうだ。
 彼女はスミアを見て、少しだけ眉をひそめた。
「スミア、具合が悪そうね。少しあそこで休んでいなさい。あそこなら、星もみえるわ」
「……ありがとうございます」
 スミアはメテオ様の言うことに素直に従い、メテオ様が指し示したバルコニーの上に置いてあるゆりいすに腰掛ける。そして目を閉じた。きもちをおちつかせるためなのだろうか、ゆっくりとした呼吸をしている。
 最初のほうは意識を保っていたようだが、数十秒すれば、その呼吸は寝息に変わっていた。
「スミア、あんなに疲れていたんだ……」
「いつもは元気なスミアが随分と静かだからもしかしてと思ったけれど、やっぱり。スミアも万能ではないと言う事ね」
 メテオ様がくすっと笑ったけれど、私は笑えなかった。夕食前のスミアは普通に見えていた。きっと無理をして元気にふるまっていたのだろう。部屋に入ってから無口だったのも体調が悪かったからかもしれない。
 こういうところは素直に尊敬する。私にはできない芸当だ。しばらく心配だったのでスミアのことを見つめていたが、やがて彼女のことを私がどうにかできるわけではないと思いなおして、彼女から視線をそらしてメテオ様を見る。
 メテオ様は私が何か言いたいことに気づいたようで、ん? と促すような視線を向けてくる。
「……メテオ様、今日も星のお告げを聞いても良いですか」
「……ふふ、いいわよ。プレノはこれが好きね。なぜわざわざ星のお告げを聞こうとするの?」
 星のお告げをしてほしい、と最初に願ったのは、いつだっただろうか。一度頼んだら、それが癖になってしまったのだ。星が私を見ていてくれる。こんな私でも。だから、私は嬉しかったのだ。
 そして、星は私にどうしたらよいか、道を示してくれる。うまく自分がするべきことを見つけられない私にとって、そうしてくれることはありがたかった。
「誰かが見ていてくださると思うと、うれしいのです。たとえそれが、星だとしても」
「私たちは」
「メテオ様たちは、忙しいです。私個人にずっと、目を向けることができません。でも星は、皆を平等に見てくれます」
 言いかけたメテオ様の言葉を遮るようにして、私はそう言った。メテオ様はしばらく何か言いたげに私を見ていたが、やがてそっと私に手をさしだしてくる。
「行きましょう。星が良く見えるところへ」
 私はそっとその手に自分の手を重ねた。