「ああ、プレノ。ありましたか?」
「いいえ。それに、二階は違うという気がします。……三階も違うという気がしますね。なかったのでしょう?」
私の問いかけに、ルヨ様が苦々しい顔で頷く。この図書館は広いうえに縦に長いので、こういう探し物をするのには向いていない。
「四階に行ってみましょうか?」
私が提案すると、ルヨ様も頷いて賛同の意を示してくれる。私は足早に四階まで登った。そして、そのまま四階にある本棚のほうへ歩いていこうとしたのだが、急に体がぐいっと会談のほうへ戻された。
「る、ルヨ様?」
私が振り向くと、後ろには誰もいない。ルヨ様を探してきょろきょろとしてみると、ルヨ様は私から少し遅れてついてきていた。挙動不審の私を見て、彼が首をかしげている。
「わ、わっ」
私の口から変な声が出る。ぞわっと背筋を何かが這う感触。それと同時に私の足が動き出し、五階へと上がっていく。どんどんペースが上がっていく。私が手をバタバタさせても変わらない。
「プレノ!」
ルヨ様が駆け寄ってきて、私が伸ばした手を握って、ルヨ様のほうへと引き付けようとしてくれる。しかし足の動きが遅くなるには時間がかかり、私の足は少しゆっくりになった後、ようやく止まってくれた。階段の中ほどで、私は立ち止まって恨めしそうに自分の足を見る。ルヨ様が呆れと怒りがなんとなく混じった複雑な表情で周囲を見渡した。
「どうやらよほど精霊様は急いでほしいようです。五階が最上階ですから、五階にあると言う事でしょう。探しましょうか」
私とルヨ様はゆっくりと階段を上がった。ルヨ様はさっそく本棚の中に進んでいったが、私には少しだけ試してみたいことがあった。私は深く深呼吸をして、足に力を入れた。
「精霊様」
ゆっくりと目を伏せ、そっと手と手を指を絡めるように組み合わせる。足は肩幅に開き、顔を俯かせる。
「本の場所を教えていただきたいのです」
ふと、重力が増したように感じる。足がぷるぷると震える。今にも崩れてしまいそうだ。これが、精霊様が関与していると言う事か。私は耐えきれず、思わず膝をついてしまう。
〈………レノ〉
なんとなく息苦しくて、私はぎゅっと強く目を瞑る。周りの空気が揺らぐ感触。遠くで私の名前が呼ばれた気がするが、うまく聞き取れない。
〈……力…貸し……い……〉
なんて言っているのかわからないが、力を貸せ、と言っているように感じる。私はこくりと頷く。すると、身体が燃え上がるように熱くなった。いや、実際に燃えたことは無いからわからないけど、急に発熱した感じだ。むわっとした暑さが私を包む。
「うあっ」
私の息がだんだんと荒くなっていく。なんというのか、気力みたいなものがどんどん外に流れて行ってしまう感じがする。
〈……力…みなぎ……レノ……かげ〉
力が、みなぎる? この声はやっぱり精霊様なのだろうか。そんなことをぼんやりとしてきた頭で考える。意識にヴェールがかかったように感じる。自分の身体にある感覚さえ麻痺しているように思えて。私は、自分が倒れこんだことも意識していなかった。しかし、これだけはわかった。なぜか目の前が白む。強烈な光が目を刺してくる。私はより強く目を瞑った。しかし、力がすうっと抜けていく。それと同時に、私の意識も沈んでしまう。
「いいえ。それに、二階は違うという気がします。……三階も違うという気がしますね。なかったのでしょう?」
私の問いかけに、ルヨ様が苦々しい顔で頷く。この図書館は広いうえに縦に長いので、こういう探し物をするのには向いていない。
「四階に行ってみましょうか?」
私が提案すると、ルヨ様も頷いて賛同の意を示してくれる。私は足早に四階まで登った。そして、そのまま四階にある本棚のほうへ歩いていこうとしたのだが、急に体がぐいっと会談のほうへ戻された。
「る、ルヨ様?」
私が振り向くと、後ろには誰もいない。ルヨ様を探してきょろきょろとしてみると、ルヨ様は私から少し遅れてついてきていた。挙動不審の私を見て、彼が首をかしげている。
「わ、わっ」
私の口から変な声が出る。ぞわっと背筋を何かが這う感触。それと同時に私の足が動き出し、五階へと上がっていく。どんどんペースが上がっていく。私が手をバタバタさせても変わらない。
「プレノ!」
ルヨ様が駆け寄ってきて、私が伸ばした手を握って、ルヨ様のほうへと引き付けようとしてくれる。しかし足の動きが遅くなるには時間がかかり、私の足は少しゆっくりになった後、ようやく止まってくれた。階段の中ほどで、私は立ち止まって恨めしそうに自分の足を見る。ルヨ様が呆れと怒りがなんとなく混じった複雑な表情で周囲を見渡した。
「どうやらよほど精霊様は急いでほしいようです。五階が最上階ですから、五階にあると言う事でしょう。探しましょうか」
私とルヨ様はゆっくりと階段を上がった。ルヨ様はさっそく本棚の中に進んでいったが、私には少しだけ試してみたいことがあった。私は深く深呼吸をして、足に力を入れた。
「精霊様」
ゆっくりと目を伏せ、そっと手と手を指を絡めるように組み合わせる。足は肩幅に開き、顔を俯かせる。
「本の場所を教えていただきたいのです」
ふと、重力が増したように感じる。足がぷるぷると震える。今にも崩れてしまいそうだ。これが、精霊様が関与していると言う事か。私は耐えきれず、思わず膝をついてしまう。
〈………レノ〉
なんとなく息苦しくて、私はぎゅっと強く目を瞑る。周りの空気が揺らぐ感触。遠くで私の名前が呼ばれた気がするが、うまく聞き取れない。
〈……力…貸し……い……〉
なんて言っているのかわからないが、力を貸せ、と言っているように感じる。私はこくりと頷く。すると、身体が燃え上がるように熱くなった。いや、実際に燃えたことは無いからわからないけど、急に発熱した感じだ。むわっとした暑さが私を包む。
「うあっ」
私の息がだんだんと荒くなっていく。なんというのか、気力みたいなものがどんどん外に流れて行ってしまう感じがする。
〈……力…みなぎ……レノ……かげ〉
力が、みなぎる? この声はやっぱり精霊様なのだろうか。そんなことをぼんやりとしてきた頭で考える。意識にヴェールがかかったように感じる。自分の身体にある感覚さえ麻痺しているように思えて。私は、自分が倒れこんだことも意識していなかった。しかし、これだけはわかった。なぜか目の前が白む。強烈な光が目を刺してくる。私はより強く目を瞑った。しかし、力がすうっと抜けていく。それと同時に、私の意識も沈んでしまう。



