極彩色の祈り

「わ⁉」
 私は声を上げて飛び起きた。きょろきょろと辺りを見渡すと、見慣れた自分の部屋ではない。慌てて立ち上がろうとすると、体のあちこちが痛かった。
「もう、騎士様から伝令を受けてきてみれば……なんでこんなところにいるの?」
 怒ったような声。私が見上げると、腰に手を当てて孤児院のおばさんが私を見下ろしていた。
 どうやら私はあの後眠ってしまったらしい。いや、眠気に抗えなかったところまでは覚えている。空の明るさ的に、それほど長く寝ていたわけではなさそうだ。
「体が熱くてなかなか寝れなくて……」
「ん? 別に熱はないようだけど?」
 おばさんのひんやりとした手が私の額に当てられる。え、と思って意識してみると、確かに先ほどまであった気持ち悪い暑さは消えていた。熱も引いている。
「あれ? うーん、確かにさっきはあったのに」
「まあ、ないなら良いさ。さあ、部屋に戻りなさい。良い子は寝る時間ですよ」
 私はごめんなさい、とお辞儀をして謝罪し、すぐに帰ろうと思って走り出そうとした。
 しかし、膝に力が入らず、すぐにかくん、とひざが折れて転びそうになった。慌てて駆けよってきたおばさんに支えられて、何とか無事だったけど。
 それから私は何度か歩こうとしたけど、どうやら手足に力が入らないらしいことが分かった。重力が急に強くなったような感じなのだ。疲労感が身体を押しつぶしそうだ。
 私は崩れそうになる身体を壁伝いに歩くことで何とか支え、部屋までたどり着く。部屋までは、おばさんが心配そうな顔で付き添ってくれた。
 熱の後の途轍もない疲労感。それは心配になるだろう。私はおばさんに体は何ともないので大丈夫だと告げて、送ってくれたことに感謝を示した。
 おばさんは少し心配そうにしながらも頷き、良く休むように告げたあと立ち去って行った。
 私は扉を静かに押し開ける。スミアはまだ眠っているようだった。起こさないように配慮しようと思ったけれど、立ち上がることさえ難しい。なので私は四つん這いになって移動することにした。
 動こうとしない身体を必死に動かし、何とか部屋の中に入ることは成功した。私は静かに扉を閉めて、ベッドまで何とかたどりつき、よじ登るようにして身体をベッドの上に横たえた。
 そして襲い掛かってくる眠気に私の気力が敵うはずもなく、私の意識はゆっくりと闇に沈んでいった。