極彩色の祈り

 雑談をしながら私たちが向かった先にあったのは、広いお屋敷。この建物だけでもかなり広い。しかし、このお屋敷の持ち主はもっと広い敷地を持つ。
 そしてその敷地には、幾つもの施設がある。私たちが先ほどまでいたところも、全てこのお屋敷の持ち主の敷地の中だ。私は空からその方が持つ敷地全体を見たことがないのでよくわからないが、もうとてつもなく、想像ができないくらいに広いと言われている。
 もっとえらい王様の城の敷地よりかは狭いはずだが、それでも下手すれば村一個分、いや、町一個分はあるのではないかとささやかれている。
 普通のお金持ちでは手に入らないそうだが、その方は国の権力者たちとよくパーティをするほど政治的な立ち位置でもかなり高位にいるらしい。だから、とても広い土地を持ち、いろいろなことに手を伸ばすことができているらしい。
 政治、色々な商会・工房・農業などの運営、騎士の育成、神殿・孤児院の管理、その他諸々。聞かされただけで、こちらが疲労感を覚えてしまうほどに、手を伸ばしている範囲が広い。

 そして、私たちが住まうのは、その孤児院だ。その方の妹様が院長の役目を担っている。その妹様のことを私たちは院長様と呼んでいる。院長様はお父上の手伝いを幼少期からしていたそうだ。その延長線上で、後を継いだ兄君である敷地の主の手伝いもしているらしい。
 彼女は頭脳も身体能力も優れているのだが、虚弱体質らしく、あまりお会いすることはできない。しかし、劣悪だった孤児院を改革してくれたことで大人たちからは人気だ。子供たちも彼女を慕うのである。

 私たちが孤児と言っても、本当の意味の孤児なのは私たち三人の中ではシエルとスミア。私はこの孤児院に孤児として入った女性と男性の子供なので、家族はこの孤児院にいる。だから、孤児という言葉の定義を考えると少し違うだろう。
 しかし、一度孤児院に入ったら、外に出ることはかなわない。運よくお貴族様に認められたら外に出られるかもしれない、けれどそれも望み薄。普通は孤児たちに注目する貴族なんていないからだ。孤児院にいる者は孤児とみなされるので、私も孤児なのである。
 出られないことは少しだけ厄介な制度ではあるが、べつにこの孤児院の環境が悪いわけでもないし、ここで暮らしていれば衣食住が確保されるので、私は不満ではない。むしろ、ここに進んで来る者もたまにいると聞く。生きるのに辛くなった平民たちが逃げ込んでくると。